拍手ありがとうございます♪少しでも楽しんで頂けたら嬉しいですヾ(´ε`*)ゝ エヘヘ .。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。. 夕食の片付けが終わったちょうどその時、携帯電話が鳴った。 シンク下の収納扉に下げられたタオルで適当に手を拭いた柚月は、カウンターの上で着信音を鳴らしているそれを取り上げる。 「……はい。なんだ、あやか」 『なんだとは何よ、失礼ね。心配して電話したってのに』 受話口の向こうであやの声が機嫌を損ねたように尖る。柚月はあやの気を逸らすべく、話を先に進めた。 「心配? なんの」 『……そうか、そうね。要ちゃんも気が立ってるわよね。あたしが悪かったわ、多少ぶっきらぼうでも仕方ない、狭量だった』 不機嫌な口調から一転、心底同情しているような、気が差しているようなあやの声音。それを怪訝に思った柚月は訊き返した。 「一体何の話だ。誰が気が立ってるって?」 『要ちゃんが、よ。……ああ、立ってるなんて言ってごめんなさい。デリカシーがなかったわね。……男の人ってナイーブでめんどくさい……』 最後をぶつぶつと愚痴るあやに、話が全く見えない柚月は問い質した。 「おい、はっきり言えよ。なんなんだ、その奥歯に物が挟まったような物言いは?」 『え? はっきり言っていいの?』 「当たり前だろう」 『要ちゃん、EDなんでしょ?』 柚月の思考は停止した。頭の中が真っ白になり、無論言葉も出てこない。 訳知り口調のあやの声が、耳に流れ込んでくる。 『……大丈夫よ、今はいい薬あるし。でもとりあえずカウンセリングとかどうかしら? 心療内科で。あんまり気を落とさないで、これから先、まだ人生長いんだし、ね?』 「だ、だ、だっ」 『ん?』 「誰がイ○ポだーーー!」 リビングダイニングに響き渡る柚月の絶叫。携帯電話をギリギリと握りしめた柚月の耳は、きょとんとしたあやの声を拾った。 『え? 違うの?』 「違う! 違うに決まってるだろうっ! お前一体なんの嫌がらせなんだっ」 『だってハルがセックスレスで悩んでたからー』 「セッ……」 二の句が告げなくなる。昨日までの、自分とハルのぎこちない関係だ、と柚月は思い当たった。 『柚月さんが大好き、でも触ってくれない、って泣いてたわよ、あの子』 「……大好きって、……ミハルが?……」 あやに打ち明けて、泣いたのか、と柚月は驚き、戸惑った。 ─── 泣くほどに、ハルは自分を想い、悩んでいたのか、と切ない想いと共に嬉しさが湧き上がってくる。もっと早く、ハルに自分の気持ちを伝えれば良かった。 好きだから、触れたい、という正直な気持ちを。 昨日の夜に思いを馳せる柚月に、携帯電話の向こうであやが言う。 『なんだ。出来なくなったんじゃないの。だったらすればいいじゃない、遠慮なく。……ハルだって可哀想よ』 「……それはもう解決した。昨日」 『えッ、昨日ヤったの? 出来た?』 「ヤったとか出来たとか言うなー!」 その時、浴室を出たハルがリビングに入ってきた。 「要さん、お風呂、空いたよー、……あ、ゴメン」 電話中の柚月に気付いて、小さく謝る。下はハーフパンツ、上半身は裸でバスタオルを肩にかけたハルはすたすたと柚月の前を歩き、冷蔵庫からコーラを取り出した。 『……今、要さんとかって聞こえたけど』 「…………」 あやのからかいを無言で受け流す。そんな柚月にあやは呆れ半分といった声を出した。 『へえー。ラブラブー。心配してソンした、ごちそうさま、じゃーねー』 「……おい、ラブラブとかそんなんじゃ」 ぼそぼそとした柚月の反論は届かず、電話は切られた。─── 次に会った時、あやにさんざんからかわれるのは必至だ。覚悟しとこう、……と柚月がため息を吐いたところへ、グラスを手にしたハルがソファーへと通り過ぎた。 「……ミハル」 「え、なにー?」 バスタオルを放り投げたハルは、ソファーに座ってもがくようにTシャツに袖を通している。その横に座って、柚月は顔を寄せた。 「……誰が勃たないって?」 「……はい?」 目を据わらせた柚月の顔が近いので、ハルは身体を引いた。訳が判らないのか、あいまいに笑っている。 「今、あやから電話があった。……EDだのセックスレスだの、言われた。お前どういう話したんだッ」 「あ、……ああー」 記憶を蘇らせたハルは、そういえば、と言わんばかりに頷く。それから頭を横に振った。 「え、でも、勃たないとかセックスレスとか言ってないよ、……ただ、触ってくれない、って、だから、あの、……」 恥ずかしそうにTシャツの裾を弄っているハルを、不機嫌そうな顔つきのまま柚月は眺めた。 ハルの話を聞いたあやは、一緒に暮らしているのに指一本触れないのはおかしいと思ったに違いない。ハルに対する自分の気持ちはあやが一番よく知っているのだ。そこで、触らない理由を考えた。…… 「……イ○ポだって言われたんだぞ」 「はあ……すいません……」 男のコカン、いや沽券に関わる大問題なのでハルも神妙に頭を垂れる。珍しくハルよりも立場が上になった柚月は、少し意地悪をしたくなった。 「……泣いたのか。あやの前で」 「ええー、……いいじゃん、別にそんなことどうだって」 ハルは目を伏せて、柚月の追及から逃れようとする。その華奢な顎を柚月は軽く掴んで上向かせた。目を合わせる。 「良くない。……俺に触って欲しくて泣いたのか?」 「……そんなんじゃ、ねーもん……」 口を尖らせて、ぶちぶちと反論する。逸らそうとするハルの目を柚月は覗き込んだ。 「……俺のこと、大好きだって?」 「…………」 首筋から耳たぶまで赤く染めたハルはついに口を噤んでしまう。柚月は顎に手を添えたまま、引き結ばれた唇に強引に口付ける。 薄い舌を絡めとり、強く吸い上げる。わざと音を立ててその口腔内をさんざんに犯した柚月は、頬を上気させて目を閉じているハルを薄目で見て、唇を離した。 「……なんで俺に言わない?」 「ん……」 ぼんやりと焦点の合わない目つきでハルは柚月を見上げた。問われていることが判らないらしい。 柚月はハルの耳に唇を寄せて、ハーフパンツの上から自己主張し始めていたその部分を手荒く揉みしだいた。 「っあ、あっ、やっ……!」 「……気にしてることがあったら、他のヤツじゃなくて、俺に言え。気にしてることは、全部、俺に話せ」 「判っ……判った、判ったから! 手え離して……っ」 ソファーの上に押し倒されたハルは、囁く柚月の肩を押して抗う。元に戻りつつあるとはいえ、ますます細くなったその身体に憐憫を覚え、柚月は硬くなってきていたその場所を探る手付きを優しいものに変えた。 「やっ……やだってばっ……あ……っ」 ぐい、と柚月は自分の腰をハルの脚の内側に押し付ける。それなりの状態になっていることを知らされたハルは身体を竦ませた。 「─── 勃たないって疑い、かけられたからな。ちゃんと出来るって証明しないとな」 「もうっ昨日、さんざん証明したよ! ていうか朝も! 出来るって、知ってるっ!」 「……まだ足りない」 噛み付くような口調のハルだったが、抗うのをやめて、Tシャツの下に潜り込んでくる柚月の手を見ている。 尖っていた先端を摘むと、びくんと華奢な身体が反応した。 「ん……っ」 「……」 ハルが声を我慢しているのが判った。もっと聞きたくて、柚月は薄い胸に唇を、舌を這わせる。そうしながら手を休めることなく蠢かし、下着の中にまで侵入させた。 「あッ、や、んん……っあ、あ、あっ」 柚月はごく、と息を飲んで、艶めかしい声を上げるハルに目を細めた。生乾きの髪の毛に縁取られた上気した小さな顔。ボディシャンプーの匂いのする火照った身体。 自分に触れられ、今にも達してしまいそうに反応している。 ……意地悪は、ほんの少しだけのつもりだったことを思い出し、理性を保つ。すっと手を引いて、身体を遠ざけた。 「……今度から、言いたいことがある時は、ちゃんと俺に言え。判ったな。でなきゃ、今みたいに無理強いするぞ」 あやにかけられた「疑惑」など嘘のような状態の下半身だったが、それでも柚月は浴室へ向かおうとソファーから立ち上がってハルに背を向ける。 ハルは捲れ上がったTシャツの裾を引っ張り、ハーフパンツを引き上げながら、ぼそっと口にした。 「……無理強いしてよ」 思わず目を丸くして、柚月は振り返った。潤んだ目を逸らすハルをまじまじと見つめる。 「中途半端なんだよ……っ、要さんのバカ、……フロ出んの、遅かったら一人えっちしちゃうかんね」 「ひと、………」 絶句した柚月の脳裏に、ハルのあられもない姿が思い浮かぶ。─── 開いた膝の間に手を入れて、それに細い指を絡ませて……。 柚月の視線にハルはかッと頬を染めた。 「あッ、今想像したろ!? サイテー! ばか!」 「……だって、お前がそういう、……そんなこと、言うから」 「なにカオ赤くしてんだよっ、信じらんない、とっととフロ入れっ!」 「……ひとつだけ、訊いていいか?」 「なに!?」 「そういう時、ネタにするのは、俺の手……」 バスタオルが飛んできた。ハルが思い切り投げたそれは柚月の顔面に当たり、頭から被せられる。少し濡れたバスタオルを取り除けた柚月が目にしたのは、真っ赤になった顔を背けたハル。 TVを見ている振りをしているその横顔が愛しくてたまらない。 以前と同じ日常。それでいて、以前よりも確かに近くなったふたりの距離を感じる。 ゆっくり、少しずつでいい。愛しいその手を離さずに歩いていけたら、と柚月は思う。 自然に笑みを浮かべたまま、柚月はハルの横顔を見つめていた。 .。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。..。.:**:.。. 拍手ありがとうございます o(_ _)oペコッ これを励みに頑張ります♪ 八月金魚 拝 |
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