ありがとうございました!!
お礼にSSでも……
Ghost Hunt ss 【From Madoka to Noll】
「愚痴を言うために電話してきたのなら、切りますが」
『いいじゃない、わたしとナルの仲でしょー』
人の話を聞きもしない相手に、大袈裟な溜め息が漏れる。
『ホント、使えないくせにプライドばっかり高い人間ばっかり! 現場に来ない人間が、現場の何がわかるって言うのよ!』
相づちを打つのすら面倒になって、聞き流す。電話を切るとさらに面倒なことになるのは目に見えているのでやらない。
『ナル、リンを返して頂戴。代わりに誰か送るから』
「使えない人間をこちらに寄越すと?」
『いいじゃない。安原君も麻衣ちゃんも、他の人たちだっているんだし。いいわよねー、日本は。何だかいい感じの人材が揃ってて。どうせナルなんて、麻衣ちゃんとイチャイチャしてるんでしょ』
「……酔ってるのか」
『酔ってなんかないわよー。ちょーっとワイン一瓶開けただけだもの。あーあ、またそっちに遊びに行っちゃおうかしら』
完全に酔っぱらっている。けして酒に弱いわけではないので、ワインの他にも何か飲んでいたのだろう。
『ナルがこっちに帰ってきてくれてもいいのよ? なんなら、麻衣ちゃんも連れて』
「どうしてさっきから、一々麻衣が出てくるんですか」
『違ってたかしら? 真砂子ちゃんの方?』
「ですから……」
『もう、つまらない子ね。だからナルはいつまで経ってもナルなのよ』
本来は頭のいい人間のはずなのだが、言っていることが滅茶苦茶になってきている。リンがいれば電話を替わったのだが、生憎外の使いに出したばかりだった。バイトの二人もまだ来ない時間だ。
ふと、イギリスと日本との時差が浮かんだ。向こうの時刻はまだ、酒を飲むにしては早すぎる時間だ。
「今はどこだ?」
『わたし? アメリカ支部よ。明日帰国予定』
仕事も終わり、暇になって電話を掛けてきたのだろう。迷惑な話だ。
『じゃ、そろそろ寝るわね。また電話するわ。今度は、麻衣ちゃんたちがいる時間に』
その口ぶりからすると、わざとこの時間帯を狙って電話を掛けてきたらしい。もう電話なんてしてこなくていいと言いそうになったが、さすがにその言葉を言うのだけは止めておいた。
『またね、ナル。今度は素直に白状してほしいものだけど』
「………」
『んふふ、わたしには全部お見通し』
最後にそう言い残して、ガチャリと切れた。
後には、苦い顔をしたナルだけが残った。
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