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誰かのすすり泣く、ひどく耳障りな息遣いがやってきて、浅い眠りの縁から俺の意識を引き上げた。 無視しようかと思うより少しだけ早く、面倒なら殺せばいいという安直な解答が脳内で導きだされて、それもそうだと思った。 毎日ゴミのように失われていく命に、いったいどれだけの価値があるというのか。 そうして戯れに少しだけ目を開ければ、 俺のベッドに潜り込むように体を寄せた、小さな人影がぴくりと反応するのが見えた。 臆病に肩を震わせて、必死に俺にすがりつくその姿はとても弱弱しくて、 ここまで無防備だとこちらとしても、萎えてしまうというものだ。 仕方なく、いつものような能天気な皮をかぶってから、 さも優しげにその肩を撫でてやれば、ぐずぐずになった泣き顔を少しだけあげて、鼻声で何かを呟いた。 「…また怖い夢を見たの?フレイキー」 うん、うん、とたぶんきっと肯定の意味でフレイキーは首を縦に振ったけれど、 掠れてしまっていて声はよく聞き取れない。 ぎゅうぎゅうと絞めつけてくる腕をひと思いに振り払ってしまいたくて、 無造作に彼女の手を握ったところで、やっと言葉になった小さな呟きがかろうじてひっかかった。 「らんぴ、らんぴい、たすけて」 「…」 「たすけてよお」 なにから、と聞きたくなったけれど、こんな馬鹿な子に聞いてもきっと的確な答えは返ってこないのだろう。 この子は大きな何かが怖いのだ、其れを不安と言うことすら知らないのだ、 自身が本当に怖がっているのが緑色の軍人であることなど、気が付きはしないのだ、 気が付きもせずにただひたすらに助けてと俺に懇願しているのだ、 その行為のなんと馬鹿げていることかこの子は一生知りはしないのだ。 「(ああ、これだから、)」 救われないのだこの街は。 吐き通せもしない嘘 拍手ありがとうございました。お礼小説は現在一種です。 |
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