ありがとうございました!
メッセージの返事などは「拍手返信」でさせていただきます! ***** http://hinata.chips.jp/ 「恋したくなるお題」サイトさまより いつか書きたいなあと思っている転生もの。 前世の記憶、悲恋系。 戦う者へのお題 06. 背中を預ける人は誰? 振り向くと必ず背後にいたあなた。いつもあなたの体温を背中にほのかに感じていた。あなたの気配が背後にするだけで、震える心が、憤る思いが、やるせない気持ちが落ち着いた。 「あなたの背中はわたしが最後まで守ります」 とあなたは言ってくれた。 最初はいがみ合っていた。だけどいつの間にか信頼して……、だから私はあなたに背中を預けた。 なのに今は、冷たくて固い壁が背中に触れている。 あなたの役割は、私の背中を守ること。 私はあなたに守られる立場ではなく、私があなたを守る立場なのに。 それなのに、どうして今、あなたは私に背中を向けているの? 「姫さま、お逃げください」 一瞬、なにを言われているのか分からなかった。 「必ず後から追いかけますから」 その言葉が嘘だと『私』は知っている。だから『私』は首を振ろうとした。 「わたしの主君は姫さま一人。わたしの生涯を姫さまに捧げます」 そんなもの、要らない……! 私が欲しいのは……っ。 「今生で結ばれないのなら──」 ちらりと見えた端麗な横顔に、はっと息を飲んだ。 いつもは皮肉な笑みを浮かべている顔が、悲壮感漂うものになっていた。 それを見て、状況を瞬時に悟ってしまった。 勝てる見込みはない、と。 「──いえ、なんでもありません。わたしの来世も姫さまとともに」 それならば、と。 私に背中を向けているあなたの袖をつかみ、強く引こうとして──失敗した。あなたの袖は私の手をするりとすり抜けていった。 「あっ」 「姫さまだけでも生き延びてください」 あなたは振り返るなり私の肩を強く壁に押しつけた。 「──愛しています、いつまでも」 掠れるようなあなたの声が、聞こえてきた。 嫌だと言いたいのに、私の身体は壁の向こうに引き込まれた。 暗転。 世界は暗闇に包まれた。 「姫さま、こちらです」 腕を強く掴まれ、あらがっても、とんでもない力で引っ張られた。 嫌だ。 あなたがいない世界で生きたいなんて、思わない。 あなたがいない世界なんて──。 《to be contined》 |
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