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「恋したくなるお題」サイトさまより

いつか書きたいなあと思っている転生もの。
前世の記憶、悲恋系。

戦う者へのお題

06. 背中を預ける人は誰?


 振り向くと必ず背後にいたあなた。いつもあなたの体温を背中にほのかに感じていた。あなたの気配が背後にするだけで、震える心が、憤る思いが、やるせない気持ちが落ち着いた。

「あなたの背中はわたしが最後まで守ります」

 とあなたは言ってくれた。
 最初はいがみ合っていた。だけどいつの間にか信頼して……、だから私はあなたに背中を預けた。
 なのに今は、冷たくて固い壁が背中に触れている。
 あなたの役割は、私の背中を守ること。
 私はあなたに守られる立場ではなく、私があなたを守る立場なのに。
 それなのに、どうして今、あなたは私に背中を向けているの?

「姫さま、お逃げください」

 一瞬、なにを言われているのか分からなかった。

「必ず後から追いかけますから」

 その言葉が嘘だと『私』は知っている。だから『私』は首を振ろうとした。

「わたしの主君は姫さま一人。わたしの生涯を姫さまに捧げます」

 そんなもの、要らない……!
 私が欲しいのは……っ。

「今生で結ばれないのなら──」

 ちらりと見えた端麗な横顔に、はっと息を飲んだ。
 いつもは皮肉な笑みを浮かべている顔が、悲壮感漂うものになっていた。
 それを見て、状況を瞬時に悟ってしまった。
 勝てる見込みはない、と。

「──いえ、なんでもありません。わたしの来世も姫さまとともに」

 それならば、と。
 私に背中を向けているあなたの袖をつかみ、強く引こうとして──失敗した。あなたの袖は私の手をするりとすり抜けていった。

「あっ」
「姫さまだけでも生き延びてください」

 あなたは振り返るなり私の肩を強く壁に押しつけた。

「──愛しています、いつまでも」

 掠れるようなあなたの声が、聞こえてきた。
 嫌だと言いたいのに、私の身体は壁の向こうに引き込まれた。
 暗転。
 世界は暗闇に包まれた。

「姫さま、こちらです」

 腕を強く掴まれ、あらがっても、とんでもない力で引っ張られた。
 嫌だ。
 あなたがいない世界で生きたいなんて、思わない。
 あなたがいない世界なんて──。

《to be contined》






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