Trio~晴れ時々大嵐~ -Trio後編後日談- 「そうだ!花火大会、お姉ちゃんも誘いましょうよ!」 「……は?」 いいことを思い付いたというように明るい声を上げた旭の言葉に、間の抜けた反応を返したのは恭一だった。 「えっ、お姉ちゃんも!?僕賛成ー!」 「でしょ?じゃあ決まり!」 しかしそんな彼を完全に置き去りにして、旭と慎太郎は盛り上がっている。どんどんと進んでいく話に呆然としていたが、しばらくして我に返った恭一は慌てて割って入った。 「ちょちょちょっ、ストップ!」 「何ですか?お兄ちゃん」 「俺は、雪絵ちゃんを誘うのは賛成できないな」 「えっ、お兄ちゃん、お姉ちゃんと一緒は嫌なの?」 思いがけず難色を示した恭一に、慎太郎が悲しそうに声を上げたが、これに慌てたのは恭一の方だ。 「違う違う違う!そんなことは決してない!断じてない!天地がひっくり返ってもありえない!!」 「…じゃあ何でですか?」 「うっ」 冷静に問うた旭の目が据わっているのに気がついて一瞬言葉に詰まったが、恭一は何とか口を開く。 「ほ、ほら、雪絵ちゃんだって忙しいだろうし」 「そんなの本人に訊いてみないと分かりませんよ」 「花火とか見飽きてたりしないか?」 「お姉ちゃん花火好きですけど」 「俺らと一緒に行くとか気まずいだろ!」 「大丈夫ですよ、あの人あれで結構社交的だから」 「~っ」 必死の抵抗も一瞬でねじ伏せられて、恭一は涙目だ。そんな彼に旭は大きく息をついてから、ついにとっておきの殺し文句を放った。 「…お兄ちゃん、お姉ちゃんの浴衣姿、見たくないんですか?」 その言葉に、沈んでいた恭一の目が大きく見開かれた。そして更にみるみる輝き出したかと思うと、頬を上気させつつ興奮気味に旭の肩を両手でガシッと掴む。 「雪絵ちゃんも誘うぞ!」 見事に態度を180度翻した恭一に、旭と慎太郎が目を見合わせて親指を立てたのは言うまでもない。 ***** というわけで、拍手ありがとうございます! 今回のお礼小話は1パターンです>< ちなみに、花火大会はもちろん四人で行きました(笑) |
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