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拍手ありがとうございます! 以下お礼文。全2種。 一次。「アレックスとジョージ」よりジョージ独白。過去語り。小さな性描写、暴力描写等あり。暗め。 まあまあ、聞いてくれよ。たった一瞬そう、そのこじゃれたアクセサリーのついたかわいらしーいお耳を貸してくれりゃあいいんだ。ああ、そうそう、そうしてくれりゃあいい。ありがとう。ただその怪訝な顔だけはちょっとマイナスかな?スマイルスマイル。オレみたいにね。おお、よしよし、もーっとかわいくなった。 ああ、んで、話だったな。これは、まあ、オレの数少なーい友人?とか、そういった類のヤツの話なんだけど、まあそれはどうでもいいとしてさ。そいつ、仮に、A君……いいや、アレックス、ってしとこう。アレックスはすっげーいい奴でさぁ、飲んだくれのクズみたいな親父に育てられたんだが、そんなこと全然感じさせないぐらいの超好青年。他人思いの優しいヤツで、更に超美男子。頭も良くてなー、あ、でもここで言っておきたいのはオレ、アレックスと学生の時学力ではタメ張ってたんだぜ?顔はこの通り足下にも及ばなかったんだけどな。 で、アレックスには妹さんがいたんだけどな。年は6つぐらい離れてたかなー。クズ親父の再婚相手の子どもらしいんだけど、何でも学校に行くのを嫌がっていつも部屋に籠もってたらしくってアレックスもすっげー心配してた。あいつの母さんはあいつがまだ小さい時病死したって聞かされてたからか、家を出ない分運動出来なくて病弱になっちまうんじゃないかって、こっちが笑っちまうほどさ。オレも大分話を聞かされたなー。アレックスのヤツ、血の繋がりが乏しくても妹のことがお気に入りみたいで、兄バカ全開でオレに話してくんの。オレ妹とかいないんだけどさ、なんか全体的に完璧なのにそういう妙に人間くさいとこ見せてくんのにちょっと親近感湧いて……ってまあそれは置いといて。 事件が起こったのは忘れもしない、3月の15日のことだった。あの日は珍しく雨が降っていたな。最近の世の中じゃ珍しいくらいに真面目でガリ勉で優等生のアレックスを、オレが「新しいオモチャを手に入れたから」って呼びつけてさ。アレックスは生まれてはじめて、はじめてだぜ?友達の家に上がり込んだワケよ。そんで、なんやかんや遊んだ後、急にあいつの家でホームワークやろうかって話になって、あいつの家にお邪魔することになったんだよ。まあオレはあいつん家の前で忘れ物に気付いて一旦家に帰ったからここからは伝聞による部分が多いんだけどさ。 アレックスが「予定より早く」家に帰ったその時っつーのは、リビングであのクソ親父が先妻の写真の前で妹を犯してるその最中で。 「逆らうなよ?このババアみたいになりたくはないだろう?」って言いながら、泣き喚く妹を、無理矢理。 このときやっとアレックスは気付いたんだと。 自分の実の母親が、病死なんかじゃなかったんだってことに。 で、何にキレたんだろうな。妹のことか、母親のことか。まあ、あいつが正気に戻ったとき、目の前はもうそりゃ血の海って表現が相応し過ぎるくらいの惨状で、ぐちゃぐちゃになったクソ親父の横で妹ががたがた震えていた。 怖かったんだろうな、つらかったんだろうな。そんな気持ちを汲んで、あいつはふらふらと妹に近付いた。泣かせるじゃないかなあ。妹思いのいい兄ちゃんだったよ。ヤツは。 でも、妹の方は違ったんだよ。 「いや……っ!!ちかよらないでっ!!人殺しっ!!」 右手には金属製のバットを持ったままで、返り血に染まりきった兄の姿はまあそりゃ悪鬼にも見紛うだろうな。いやしかしこの科白はひどいよなぁ?まあとりあえずその言葉はたとえアル中のクソだったとしても父親を殺してしまった直後の不安定な精神状態には刺さるわけで……まあこの先は黙っておこうか。 ああ、ああ、不快な話聞かせちゃったかな?それはそれは申し訳ない。でもさ、ただの殺人鬼だなんて思ってほしくなかったんだよ。君には、特にね。 いや、それにしても君は妹さんによく似ているね。死に顔まで、そっくりだ。 |
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