メッセージありがとうございました。
ただ、忙しいせいでなかなかお返事できません。 そこで、感謝の気持ちをこめて、Short Storyを用意しました。 -------------------------------------------------------------------------------- 遠くから、部活をしている生徒らしいかけ声が聞こえる。 窓の外に目を向けると、少し赤みがかった葉を付けた木々が見える。 (もう少しすれば、紅葉が見れるかな。) ぼんやりとした頭で、志貴はそんなことを考えていた。 穏やかな放課後。 そこは茶室。 正座するシエルと、そこに頭を乗せて、いわゆる膝枕をしてもらっている志貴の姿があった。 「先輩、聞いてもいい?。」 「何でしょう。」 「どうして先輩は、茶道部なの?。」 「また唐突に。」 「うん、唐突に思いついたから。」 「で、何故そんなことを?。」 「深い意味は無いよ。ただ、元々日本に居たわけでもない先輩が、どうして茶道部なのかなって。先輩の力なら、新しく好きな部を作ることもできたわけだし。」 「そうですね。なんででしょうね。」 サッーと、風が吹き込んでくる。 それに乗って、1枚の落ち葉が志貴の顔に落ちてきた。 顔をしかめる志貴。 そんな様子に、シエルはくすくすと笑った。 「憧れ、だったのかもしれません。」 「憧れですか。」 「ええ。こうして穏やかな時間を過ごすことがです。それがたまたま見つけたこの部屋だった。」 「・・・。」 「わびさびの心というんですか、私にそういうものはわかりません。ただ、この部屋は今までに無い心地よさを与えてくれます。」 「そうですか。」 「それに。」 シエルは膝の上の志貴の髪を撫でながら言った。 「運命かもしれません。きっとこの部屋で無ければ、遠野君もくつろいでくれなかったでしょうから。」 「う~ん、確かに先輩の部屋はちらかってたからね。」 「もう、それはいいですから。」 やや拗ねた顔をするシエルを見て、志貴は笑みを浮かべて続けた。 「先輩は運命を信じるんだ。」 「さあ、どうでしょう?ただ・・・。」 そこまで言うと、シエルは志貴の頭を軽く抱え込んだ。 そして、屈み込むようにして、キスをした。 「遠野君と一緒にいられる運命なら、信じてもいいかなって思ってます。」 「先輩、可愛いね。」 「も、もう、からかわないで下さい!」 「ははは、先輩、顔真っ赤だよ。」 そして、今度は志貴が手を伸ばし、シエルのほおに手をかけ、ゆっくりと自分の方に引き寄せた。 そして、長い、長いキスをした。 穏やかな放課後。 そこは茶室。 そこには、運命に翻弄されながらも運命を胸に抱いた、新しい家族の姿があった。 <FIN> |
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