いつも遊びに来て頂いて、本当にありがとうございます!
ささやかですが、お礼SSです。
まだ1巻中盤の頃の、餌付け千秋のお話です。


おいしい生活





「はぅーん、千秋先輩の料理はやっぱり最高デス〜!」

口いっぱいに料理を頬張りながら、これ以上ないほど幸せそうな顔をしたのだめが奇声を上げる。
不本意な餌付けをしたその日から、毎日繰り返されるオレの日常。

こんなはずじゃなかったのに。
なんでこのオレ様が、こんな変態のために、
毎日毎日メシを作ってやらないといけないんだ……?

「いい加減、おまえも自分の巣に帰れ!ここに住み着くんじゃねぇ!」
「だって夫婦は一緒にご飯を食べるのが普通デショ?」
「夫婦じゃねぇ!」
「あ、千秋先輩、もう1杯お代わりお願いしマス♪」
「まだ食うのか……」

呆れながらも、結局4杯目をよそってやったオレは、
幸せそうに食べるのだめを横目に、そっと溜息をついた。

たくっ……こいつに出会ってから調子が狂いっぱなしだ。
今まで女を振り回すことはあっても、その反対は絶対になかったこのオレ様が、
なんでコイツには振り回されっぱなしになってしまうんだろうか?

「はうーん、ご馳走様でした!のだめ幸せデス〜♪」

クッションを抱えゴロンと床に寝転がるのだめは、まるで気まぐれな猫そのもので。
そんな姿を見てると、なんだかもうこの現実に疑問を抱くこと事態、
酷くバカバカしいことのように思えてくるから不思議だ。





「のだめ。いつまでも寝てないでピアノ弾くぞ!」
「ハイ!」

元気よく起き上がったのだめは、ピアノバッグからスコアを取り出し、
鍵盤にそっと両手を乗せて、早速弾き始めた。
その色鮮やかで艶やかな音色にうっとりと聞き惚れてしまうも、
飛んだり跳ねたり、アクの強さは相変わらずで―――

「そこ違う!勝手に作曲するな!何度言ったらわかる!」
「むきゃあ!ごめんなさーい!」
「明日、学校終わったらまたここでレッスンの続きやるぞ!いいな?」
「ハイハーイ!のだめ、明日はお鍋が良いデス!」
「調子に乗るなー!!」
「がぼー!!」
思いっきりスコアを投げつけると、のだめは奇声を上げて仰け反った。

「せんぱーい、ひどいデス〜!」
「うるさい!さっさと続きやるぞ!」
おでこを擦りながら涙目で抗議するのだめを、軽く無視する。

「のだめ、お腹が空いてもう指が動きません〜」
「さっき夕飯食ったばかりだろ……しょうがない、あとでなんか軽い夜食作ってやるから、
 今はこれに集中しろ!」
「ムキャー、千秋先輩の夜食〜♪のだめ頑張りマス!」
途端に満面の笑顔になってピアノに向かうのだめに、思わず苦笑いが零れてしまう。

まるで漫才みたいなやりとりを繰り返す、新しいオレの日常。
それは酷く不本意な筈なのに、なぜかとても心地良く感じてしまう。
少なくとも、この狭い島国を脱出出来なくてもがいていたあの頃よりは、
ずっとマシな生活なのだろうから。

こいつは不潔で図々しくて無神経な、本当にオレの一番苦手なタイプの女だけれど。
それでも結局オレは、明日もこいつのために腕によりをかけて、
最高にうまい料理を作ってしまうんだろうな。

こいつのピアノを、こいつの一番傍で聴くために。


            ―――fin―――


どっちがよりおいしい生活を送ってるかってことですね(笑)



ついでに一言あればどうぞ(拍手だけでも送れます)

あと1000文字。