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比翼 ーー血ヲ求メ狂ウーー
(新連載予告)

びちゃり、という水音。
無言で零される切なげな吐息。
星さえを瞬くことのない闇のなか、部屋で二人の男女が禁忌と呼ぶにふさわしい行為。
男は女の鎖骨から流れ出る真紅の鮮血にゆっくりと舌を這わせる。
まさに、供血。
「すまねぇ」
苦しげに呟かれる言葉。
女はそれに気づいているのだろうか。
男は裡で慟哭する。
俺があんなことにならなければ、と。

     +++

原田君、力が欲しくありませんか。

そんな言葉を山南からかけられたのは男が、原田が力不足を痛感していたときだった。
男は女を守るもの。
そんな大言を吐いたのにも関わらず、自分は大切な女一人守ることが叶わなかった。
するり、と山南の言葉が耳に付く。
一瞬だけ、自分が力を手に入れるにはこうすればいいのかと思考が働いた。

私なら、彼方の欲するものを差し上げられるでしょう。

思わず、手が動きそうになる。
でも・・・。

彼方なら、分かってくれるでしょう?原田君。 この羅刹という力は利用しなければならないもの。
・・・藤堂くんも土方君も分かってくれない。

そう、微笑む山南。
原田は一抹の不安を覚え、後ずさる。
今の山南はまさに狂気に取り付かれているといえばぴったりだろう。

山南さん、俺はーーーー

そう、口を開きかけたとき。
後ろから数名の羅刹がとびだした。

ーーーッッ!!

彼らは原田を羽交い絞めにする。
屯所のなかだから、と力をある程度抜いていた原田は即座に抵抗するが。
あとから、あとから音も無く湧き出る羅刹についに屈した。

原田君、逃がしはしませんよ。

山南が原田に歩み寄りそして、一息に赤色の液体を彼の口に押しこんだ。

彼方が力を欲した時点で運命はきまったのです。


そして、男は別のモノへと成り代わった。

     +++


ーーお前、本当に左之か・・・?--

ーーオレ、左之さんには幸せになってもらいたいんだーー

ーー私は、幸せになっちゃいけない化け物なんです!!!ーー

ーー原田、てめぇ羅刹になったのか・・・
   てめぇは、てめぇは・・・そんなモンに身を落として・・・誇りなんてもんはあるのかよッッーー

わかってる、わかってんだよ。
 俺はーーーーーーッッッ!!

なにを選択するのか。
男は逆らうのか。
そしてーーーーーー、堕ちるのか。


後綴り

な、なんと原田さんの羅刹化。
随想録のスチルを見たときから、ずっと考えていました。
もし、原田さんが故意に羅刹になってしまったら、彼はどんな生き方を選択するのか。
そんなIF(もし)~の物語を綴りたいと考えています。
ダークシリアスになることは必須ですよね。
羅刹とは何か。
人としての誇りとはなにか。
そして幸せのあり方とはなにか。
それを影羽なりに綴っていきたいと思っています。
それと物語の最後部分の台詞誰が言ったのかを分かったら、相当凄いと思うんですよね。
でも、やっぱり賛否両論が分かれると思うのでお客様の反応を見てから
続きをアップするか決めたいと思います。


ーーこの結末を知ることを彼方は選択しますか?ーー



ついでに一言あればどうぞ(拍手だけでも送れます)
あと1000文字。