―導かれし地  ハットゥサ―




「此処どこ?」

ユーリは小さな水溜りにひきこまれて

我に返ると見知らぬ風景、見知らぬ人々に

囲まれて混乱していた。

訳が分かんない・・・



決してナキア皇妃の選ぶるものでなく。

それは天の大いなる意思。

世界の混沌を脱すべくカイルに遣わされた女神。

しかしながら天は容易に女神を与えず。

カイルは真の愛を知り

苦悩を知り無力さを知る。



皇帝を座するまでの苦難を与え

その重要性を知らしめんとす。



後にイシュタルと言われし少女も

過酷な運命を与えられ

現世と古代の狭間で揺れ動く。


忘却と言う手段を望みながらも

叶わず。

生きるべき道を模索す。


生きてきた十五年

それを忘るるは不可能。

されど此処を去ることも出来ず。

還る機会を逸しカイルは手放す事に躊躇し

ユーリは戸惑いを隠せず。



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