僕しか知らない君をください


「…は?」
「え?」
「お前、今なんて言った?」


あれ。なんて言った?って…。
聞こえなかったのかなと思ってそう聞いてみたら、聞こえなかったわけじゃないけど、って返された。


「だから、俺しか知らないぱっつぁんが欲しい、って言ったの」


本当は同じこと何回も言うのは嫌いだけど。
相手がぱっつぁんだから、特別サービスでもっかい言ってあげた。

そしたら予想通り新八っつぁんは馬鹿にしたような表情のまま固まって。
思いのほか、長い間ができて。


「何?この沈黙」
「いやお前のせいだろ」
「まぁね」


何かを考えててもつっこみは衰えない。
さすがぱっつぁんだなぁ、なんて思いながら黙って返答を待ってみた。

しばらく考え込んでから、ぱっつぁんは俺の名前を呼んだ。
なぁに、なんて返事を返してみたけど。
頭の中では、あぁやっぱりこの声で名前呼ばれるの嬉しいな、とか考えてた。


「あのさ、平助は…何がしたいわけ?」
「え?だから俺しか知らないぱっつぁんが、」
「そうじゃなくて!」


あれ、違うの?
言葉にしないまま、表情でそう問いかけてみる。
だって新八っつぁんはそれだけでわかってくれるから。


「そんなこと言われたってさ、俺はどうすればいいの…」


出ました永倉選手得意の上目遣い!
困ったような、呆れたような微妙な顔で。

でもさでもさ。
どうすればいいの、なんてそんなの。


「わかんない」
「へ?」
「わかんない」
「馬鹿?」


だってさ、俺しか知らないぱっつぁんが欲しい、とは言ったけど。
どうしたら手に入るかなんて、ぱっつぁんも知らなければ俺だって知らない。


「束縛したいのかって言われるとそうじゃないし、抱きたいのかって言われたらもう抱いたことあるわけだし?」
「…まぁ、ね…//」
「俺もどうしていいかわかんない…」


わかんないけど、とりあえず腕の中にすっぽりおさまる小さい身体を抱きしめてみた。
だって今は俺だけのものでしょ?

ぎゅーって抱きしめたらむっなんて可愛い声が聞こえた。
あぁもう何、この可愛い生物。

ちょっとだけ苦しそうだから腕の力を緩めてあげた。
そしたら服の襟を掴んでぐいって引き寄せられて、何かと思ったら新八っつぁんの方からキスしてくれた。
そんで恥ずかしいのかすぐに俺の胸に顔を押しつけて赤いほっぺを隠した模様。


「ズルい」
「え?」
「ズルいんだよ、馬鹿へー…」
「な、なんで?何が?」
「そんな顔されたら、叶えてやりたくなるじゃん…」


そんな顔ってどんな顔?
俺そんなにどうにかしてぱっつぁんが欲しいって顔してた?
でも、これでも一生懸命隠してるつもりなんだけどなぁ。
まぁ言葉にしちゃったから隠してる意味はあまりないんだけど。


「俺、どうすればいい?どうしたら、平助しか知らない俺、あげられる?」


なんて可愛いことを言って。
可愛く首傾げたりなんかして。
俺の可愛い恋人は狙ってそうしてんじゃないかと思わせるほど俺のツボを刺激する。

ていうか、俺しか知らない新八っつぁんが欲しい、なんて言ったけどさ。
他ならぬ平助くんが言ったんだけどさ。


「…いた」
「へ?」
「いっぱい、いた」


いたよ。
見つけた。


「俺しか知らないぱっつぁん、いっぱいいた」
「見つけたの?」
「うん」


そうだ。
なんで気づけなかったんだろう。
こんなに近くにいたのに。


「ぱっつぁんをこんな困らせられるの、俺だけだよね」
「え…」
「この顔赤くできるのも、俺だけ」
「平助…っ」
「寝顔だって、俺しか知らない」


照れた顔
怒った顔

いじけた時の顔
嫉妬した時の顔

キスの前のビックリした顔
キスした後の真っ赤に染まった顔

全部全部、俺しか知らない。


「みんなに見せる笑顔と、俺に見せる笑顔、違うし」
「ッ…わかったなら、言うな!//」
「俺に見せる表情と態度は、俺しか知らない」


もう一回、可愛すぎる恋人を抱きしめる。
恥ずかしいからか、さっきよりちょっと抵抗されたけど。
構わずに抱き込んで、ふっくらしててやわらかい唇に自分のそれを重ねてみた。

そしたらやっぱり真っ赤になって、大人しくなって俺の胸に身体を預けてくれる。


「馬鹿…//」


うん、ひどい言葉は相変わらずだけど、それはぱっつぁんの照れ隠しだってわかってるから。

抱きしめ返してくれる手に、ぱっつぁんもそうとう俺にベタ惚れだよな、なんて思ったけど。
口にしたら怒られるだろうな、と思ってそこはこらえた。

けど、可愛い、と言ってきつく抱きしめたら、可愛くないし苦しいし、って結局怒られた。

あんまり怒らせたら殴られるよな、って思って反論はしないでおいたけど。
我慢できずに深いキスをしたら、長すぎ、って言って真っ赤な顔で結局殴られた。

こんなやりとりできるのも俺だけだから、まぁいっか、なんて思う俺は、そうとうこの小さい恋人にベタ惚れだよな、って思う。





ちょっと書き方変えてみた。
っていうか平助視点で書こうとすると勝手にこうなる(笑)
だって頭ん中でも喋りっぱなしっぽいんだもん。

なにはともあれ。
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