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玉砕覚悟の恋 10. 終わりと始まり 「好きです。あなたが」 とうとう告げた 一生伝えないと思っていた言葉を彼に うろたえる彼 「本気ですよ」 「俺とハルヒ、付き合うことになった」 ぶっきらぼうに、でも照れくさそうに彼は言う 「お前には色々と発破かけて貰ったりしたからな。一応伝えた方がいいかと思ってな」 笑顔のままで 「おめでとうございます」 と言うはずだったのに 出てきた言葉は今まで胸に留めていたものだった 硬直してしまった目の前の人にフォローを入れたい 「冗談ですよ」 と言ってしまいたい でも、知っていて欲しかったという欲望もあったのだ 気付かないフリをしていたけれど 今更汗が出てくる どうすればいいのかわからない 思わず下を向く 「ありがとうな」 彼の声に反応して顔を上げとそこには笑顔の彼が居た 「いや、なんていうか…応えることは出来ないが気持ちは嬉しい」 「てっきり罵られるかと…」 「驚いたが罵るもんじゃないだろ。俺もなんであいつが好きなのかなんてわかんねーし」 ああ、そうか 涼宮さんが彼で変わったように彼だって涼宮さんで変わったのだ 「1つだけ、お聞きしてもいいでしょうか?」 「…なんだ?」 「涼宮さんが…好きですか?」 目を泳がせて返答に詰まっている 頬をかいてどうしたものかと足を動かす 決心したように一呼吸 彼の動作の全てが愛しい 「好きだよ。どうしようもないくらいにな」 「それが聞けてよかったです。今後も涼宮さんをよろしくお願いします」 「へいへい」 「それと、1つお願いが…」 「まだあんのかよ。なんだよ」 「これからもよろしくお願いします」 手を差し出す 「何を今更…」 そう言いながらも手を握ってくれた 「じゃあな。一緒に帰る約束してるんだよ」 幸せそうな彼を見送る 片想いの終わり 友達としての「好き」を増やす時の始まり |
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