玉砕覚悟の恋



07. 呼吸を忘れる程に



刺さる様に冷たい雨

彼も涼宮さんも傘を持っているだろうか

心配になり自分の傘、学校に用意しておいた折り畳み傘を思い浮かべコンビニに行きもう1本ビニール傘を購入する

坂を下りてくる小さい影

相合傘をしているカップル

思わず身を隠す

見覚えのありすぎる服装、髪形、身長差

顔がはっきり見えてくる

声が聞こえてくる

ああ、覚悟なんかずっと前からしておいたのに

目の当たりにするとそれはあまりにも自分にとっては悲しい光景で

はっきりしてきたはずの姿がまたぼんやりとしてきた

そう、それは待ち望んでいたはずの光景だ

機関に報告しなくては

きっと僕達の活動も一層沈静することだろう

嬉しいはずなのに
嬉しい…のだ
嬉しくなければいけない光景なのに

そう、それは呼吸を忘れるほどに嬉しい光景のはずだ

中学からの憂いが晴れていくような、そんな2人の姿

それなのに何故自分の心は今の空のようにどんよりと曇っているのだろうか?


呼吸を忘れるほどに胸が苦しくて堪らない









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あと1000文字。