ホワイトデー 片岡×沢村(ダイヤのA)

3月14日、バレンタインのお返しをする日であるが
あげた側になる沢村は朝、ランニングをして
御幸達にボールを受けてもらいながらもどこか上の空。
朝から姿を見せている片岡の方をチラチラと盗み見している。
集中しろと金丸や御幸が言っても何だかんだで片岡を見る沢村。
監督に用事があるなら行って来いと言われても首を横に振る。
知っている者は沢村の行動が分かりやすく笑っていた。
片岡も沢村の視線に気づいているがここで呼ぶ訳にもいかず
練習はぎりぎりまで続けた。

丁度、チャイムが鳴って朝練は終わる。皆、バラバラにグラウンドから出て
校舎へと向かう。しかし沢村は動こうとはせずにじっとある人物に視線を向ける。
解散の合図から片岡も沢村に視線を向けて目が合いため息をつくが
ここで何か言わなければ授業中も集中しないだろうと考え沢村を呼ぶと
主人を見つけた犬のように駆け寄ってくる姿に少なからず"可愛い"と思ったのは
ないしょにしておこうと片岡は思った。


「沢村、落ち着きがないのがバレバレだ」

「うっ…」

「放課後の練習終わってから俺の車に来い。」

「はっ…はい!!」


パァと明るくなると笑顔で失礼しやすと言って小湊達に駆け寄る。
すぐに顔に出る沢村に小湊達は監督から何を言われたのか気になるらしく
沢村に聞くが隠し事できない沢村であるが皆には


「俺とボスだけの秘密!!絶対に言わない!!」


と顔を真っ赤にして言う沢村にただ単に褒められただけだろうと思う事にした小湊達。
絶対に秘密なのは片岡と付き合っていると言う事。
それは公にはできないのはバカな沢村だって分かってる。
二人っきりの時以外は皆、平等。
教員と生徒、監督と選手。そしてお互い男同士だ。
理解する者は無きに等しい。だから沢村は小湊にも降谷にも金丸にも言っていない。
唯一知っているのは高島だけ。
練習している時は一緒に居られるがそれはちょっとだけだ。
数分だけでもいいから一緒に居たいと沢村は思っているが
片岡の方はどうなのだろうかと不安になるが
たまにだけ車に呼ばれる。その時は恋人として居られるという事。

授業中、寝ると監督達に伝わるので必死に授業を受けるも
眠たいときは眠いので意識を手放す事もある。
放課後、朝とは違って沢村の集中力に全員が驚く。
小湊と金丸は監督に何を言われたらあんなになるのか不思議でたまらなかったが
高島だけはくすくすと笑っていて片岡はため息をついた。
その後はいつもの沢村で周りも気にしなくなった。
練習は夜まで続いた。次の日は土曜日で昼からの練習の為。
皆、解散の合図で寮に戻ったり自主練したりと様々だ。
御幸も今のうちに戻ろうと隠れるも降谷に見つかる。

いつも隣で騒いでいる沢村が居ない事に御幸は辺りを見回すが見当たらない。
降谷に聞いても知らないと言う。少し不機嫌な降谷に
沢村が朝から構ってこない事に少なからず不貞腐れているのだろうと
御幸は思った。球を受けろと言われたら言われたで嫌だが
言われなかったら少し寂しさも感じた。
何だかんだで皆、沢村が好きだなーと思う御幸であった。

いつもなら最後までいる沢村の姿が今日はなく先輩達や同級生も
首を傾げる。片岡は三年の先輩達と何やら話をしている。
が、沢村の姿が無い事は片岡も知って心の中で"急ぎ過ぎだ"と思った。
沢村はユニホームを部屋に置いてすぐに片岡の車へと向かおうとしたが
三年生達の話が長引くかなと思い汗かいたままで行くのもなんだから
先に風呂に入ろうと決めた。早く片岡に会いたい沢村は10分もかからない程度に
風呂からあがった。早すぎると言う者は誰もいなかったほど風呂場はは沢村しかいなかった。

それから辺りを見まわして誰もいない事を確認して片岡の車へと向かう。
車の鍵は所有者の片岡が持っているので片岡が来るまで待ちぼうけかなと
沢村は思っていたがダメもとでドアを開けようとすると
すんなり開いた事に驚きつつも不用心だなとも思い車内にはいる。
車内は綺麗で片岡の性格がでている。そしてうっすらだがたばこの匂いで
片岡の車だと沢村は表情が緩んだ。
何度か車内で抱きあいキスもしたが最後までしていないのは
次の日の練習に負担をかけない為だろうと優しさが見えるが
少し不満ではある。だが風呂場で片岡の体を見ているためか少しだけ
不安と恐怖もある。片岡のは馬なみにデカイ。
あれを見た時、一瞬だけ青ざめたのを覚えているのは記憶に新しい。

色々、考えている間に車のドアが開いて沢村はびくりっと飛びはねた。
驚く事もなかったんじゃないだろうかと後々、思った沢村は
ドアを開けた人を見て笑顔になる。
車の鍵を開けていて正解だったと片岡はため息をついた。


「…早いな」

「へへっ…」

頬を赤らめて小さい声ではあるが早く会いたかったしと言う沢村に
片岡は苦笑する。言った後に恥ずかしくなり顔を下に向けると
顔に出やすいななと思いつつもそんな沢村も気に入っているので
本題であるバレンタインのお返しを渡そうと車内に置いていた紙袋を
沢村に渡してお返しだと告げる。が何の事かわからない沢村はきょとんと首をかしげる。
バレンタインのと言えば沢村は理解し紙袋を受け取る。

「ありがとうございます」

と笑顔で答え早速、中身を見る沢村はプレゼントされた物を見て
片岡とプレゼントを交互に見た後、また笑顔でお礼を言った。
着替え用のTシャツが少ないのを前に片岡に話していたが
あれはただのその場での話題だったので本気にして言ってはなかった。
それでもそんなささいな会話でも覚えていてくれる片岡に感謝しまた惚れ直す。
喜んでいる沢村を見て何かを思い浮かべた片岡は笑い


「だが服をプレゼントされたら要注意だ」

「へ?何かある…うわっ!?」

「こう言う事だ」


沢村が座っていた椅子が倒れ、押し倒された状況になり
その上に覆いかぶさる体制をとった片岡はサングラスを外す。
そして触れるだけのキスをし離れようとする片岡に沢村は
甘えるように抱きついた。まだ足らないとじっと見る沢村に
少し驚かすつもりと負担にならないようにここまでにするつもりだった片岡は
触れるだけのキスを何度か続けたが沢村はとろんとした顔でまだせがんでくめために
今度は舌を絡める。久しぶりのキスをした為か沢村はまだ続けてほしいと言うと
何度か角度を変えながらも舌を絡める。


「んっ…ボッ…ボス…もっ…はぁ…と…」

「……そんなに煽ってくれるな」

「んんっ…っ…ふぁっ…」


夢中になればなるほど沢村は抑えがきかなくなる。
片岡はすぐ引き返す瀬戸際まではその行為を続けるが
そろそろ沢村の事を考えて止めようと離れようとしたが
ぎゅっと服を掴まれ上気した顔と潤んだ目で上目づかいされ


「やめちゃ…ヤ…です…」


バカ正直の直球の言葉にめまいを覚える。
そんな顔を他の選手に見せるなと言ってやりたいが
相手が沢村だ。そんな事を言えばすぐに良い返事が返ってくる。
片岡に対しての沢村は他の選手から見ても明らかで
主人を見つけた犬の如く、はちきれんばかりにしっぽを振っている感じだ。
ただ恋愛感情までは気づいていない選手達。
それほど沢村は片岡が好きだと言う事。

次の日は昼から練習を始める為、
今のうちに愛でておこうと片岡も沢村に触れる。
その後、沢村のとんでもない発言に片岡は理性がきれるとは思いもよらなかったという。


終わり


拍手ありがとうございます。
感情ただ漏れの沢村に
可愛いとかおもっている監督とかいいなーとか思うのです。



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