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・ラスダンメンバーで旅の途中
・季節はずれも甚だしい 2016/07/17記
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いきなり雪の玉をぶつけられむっとしたが、ここで怒れば相手のペースにはまってしまう。カインは素知らぬ顔で顔についた雪を払い、何事もなかったかのように振舞った。
視界の端にもう一発飛んで来るのが見えたので、今度は顔を背けたままそれを掌に受け止める。雪の塊が弾け飛ぶ。
「やるじぇねえか」
「顔にぶつけたらダメ!」
リディアがエッジをたしなめたが、その彼女の投げた玉は、振り向いたエッジの額に見事に当たった。
「……おめえ、笑わせてくれるじゃねえか!」
「ごめん! だってエッジが動くから――」
きゃあ、とエッジの投げた玉を避けながらリディアは駆け出した。
「混ぜてもらえよ」
子どものようにはしゃぐ二人を、そわそわと落ち着かない様子で眺めていたセシルに声をかけると、彼は、え、と困惑の表情を浮かべたが、すぐ「ちょっとだけ」と言ってしゃがみこみ、雪玉を握り始めた。
「おまえも」
「……私は、いいわよ」
「ローザ! 行ったよ!」
リディアの投げた玉がローザを襲ったが、彼女は既に物理攻撃回避の魔法を自分にかけていて、それを難なく避けた。
「おまえ……」
「ローザずるい!」
「魔法使っちゃだめってルールあった?」
彼女はしれっと言ってのけ、鼻息荒く雪玉を握り始めた。
意外に大人げないやつ……
カインは呆気にとられ、特大の雪玉を両手で抱えてリディアたちへ向かっていく幼馴染の後姿に呟いた。
「俺も分身の術、使うぞ!」
「じゃあ、私もシヴァを喚ぶから!」
「おめー、それ、雪じゃねえ! 氷だ!」
「みんなずるいぞ! 魔法も忍術も無しだ! って! ローザ!」
ローザに雪玉をぶつけられ、セシルは声を張り上げた。
バロンでは数えるほどしか雪は積もらなかったのに、積雪は人を童心に返らせるのか、羽目を外すことのないローザまで雪玉を投げ合ってはしゃいでいる。
盛り上がった木の根に積もった雪を払いのけ、カインはそこに腰を下ろして四人を眺めた。左手で雪を少しすくい取り、掌の上でふっと息を吹きかける。粉雪とは異なる湿気を含んだ雪は、ぼとりと塊のまま落ちていった。
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