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恋する5のお題 (女視点 清く正しく) : その5 きっと幸せな一瞬。

 その日の夕方は雨だった。
 いつもならささいなことだって気にしないのに。でも今日は犬の散歩をする日で、かつ傘を持ってきてなかったもんだからやっかいなことになった。
「あんたは散歩したいよね」
 学校専用の犬小屋に行って。視線を落とすと、さくら(犬)はしっぽを元気よく動かしている。これはどこからどう見ても散歩する気まんまんよね。仕方ない。ちゃっちゃと終わらせて帰ったらお風呂に入ろう。
 ぬれるのを覚悟してリードを手に取ろうとすると。
「ぬれますよ」
 とある後輩から目の前に傘を突き出された。
「後ろ姿が見えたから。風邪ひいたらどうするんですか」
 なんであんたはいつもいつも、あたしにとって絶妙なタイミングで現われるんだろう。
「佐藤は予備の傘持ってる?」
「これだけです」
 しかも、全部自然にやってるのが憎らしい。
「ぬれるといけないから。散歩付き合ってよ」
「……俺でよければ」
 雨の日に二人で犬の散歩。このささいなひとときこが、もしかしたら『幸せ』と呼ぶのかもしれない。

  「皐月と後輩」より
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