もう太陽も沈みかけた放課後。校門に寄り掛かる忍足の長い影が伸びる。

目の前を通り過ぎる下校中の生徒もまばらで、女の子たちから向けられる好奇な視線もすでに慣れた。



ぼんやりと大きな夕陽を眺めながら、そのオレンジの美しさに忍足は満足げに溜め息を吐く。

可愛い足音を鳴らして、そろそろ慌てて走ってくるだろう彼女を思ってそっと笑いを噛み殺した。




「忍足さん…す、すみません…委員会が…長引いちゃって…」

「そない慌てんでええよ」




案の定、息を切らせながら走って来た彼女の頭を優しく撫でながら忍足は苦笑する。




「で、でも…凄く待たせちゃいましたよね?」

「…時計忘れたからなぁ…ようわからんわ」

「…で、でも…もう陽が落ちてきて…」

「そんなん気にせでええよ…それにな、俺は桜乃を待つの嫌いやないで」

「…へ?」

「桜乃に会えるなら、それまでの時間でさえも愛しく思えるわ」

「………」




顔を真っ赤にさせる桜乃の額に、忍足は軽くキスを落とす。




この一瞬ですら。




君に関わる全ての瞬間が、愛おしい。



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桜乃ちゃんを大切にする忍足さんが素敵だ…!



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