幕間弐 弐ノ巻撮影終了時 「カーット」 「お、終わった…」 瑠螺蔚はよろよろとロッカーに向かおうとした。 「て、徹夜で、覚えた…弐ノ巻…やっと…終わった、わ…。寝る、寝てやる。布団があたしを呼んでる…」 「お疲れ、瑠螺蔚」 速穂児が決まり悪そうに現れる。案の定瑠螺蔚はぴーぴーと捲し立て始めた。 「出たわね元凶!あんたが台本渡し忘れるからこんなあたしがいらない苦労をするはめになるんじゃないの!もうもう、おごりなさいよ!」 「わ、悪かった。その件は本当に悪かった。何をおごれば良いんだ?」 「家!」 「おいやめろ破産させる気か!」 「だって家欲しい!」 「知らん!彼氏にねだれ!」 「おらん!」 「いばるな」 「いたらあんたなんかにこんなこと言ってないわよおうおうおうおう。あーんもう速穂がいじめるー誰かー」 「るっ瑠螺蔚さん!僕なら家のひとつやふたつやみっつ…」 「うわなんか出た!速穂殺虫剤!」 「酷い!」 「よかったじゃないか瑠螺蔚。いいパトロンがいて」 「嫌よ高彬から家貰うと後々それをネタに結婚迫られそうでしょ」 「ええ!瑠螺蔚さん一体僕を何だと!」 「財布」 「身も蓋もない!」 「まぁ普通彼女でも何でもない女のために家は買わないがな…」 「まだ買ってないよ」 「高彬どの目を覚ませ。瑠螺蔚だぞ。いいのか?いいのか!人生を棒に振るような真似はよせ!」 「ごるぁどーゆー意味よちょっとこっちこい」 「いや、違う!違うんだ、瑠螺蔚!今のはぐああああああああああ」 「おーなんだ楽しそうだな~」 「あら長門。お疲れ。あんたなんで出てないのに毎回いるの?」 「気分?でもギャラ出ないから交通費は自分持ちだ」 「あたし達だって交通費ぐらい自分持ちよ…」 「なんの話をしてたんだ?」 「合法的に速穂から大金を分捕る方法」 「瑠螺蔚さんと僕の結婚・出産・その先の老後墓までプラン」 「あんた怖いのよ!」 「瑠螺蔚さんも大金だったら僕があげるから速穂児なんてほおっときなよ!」 「おい待て二人ともかすってすらいないぞ!」 「あ復活しやがった」 「どうした速穂血まみれだぞ」 「気のせいです」 「瑠螺蔚が答えるな張本人!」 「ぼ…僕が…殺りました…」 「いや庇う必要ないから!それと俺死んでない!」 「あんた舞台裏だと大分ハイテンションねー疲れない?」 「おまえらのせいだるぉおおおおお!」 「やだ速穂児スーパーサイヤ人になりそう。疲れてるのはあたしだっつーの。だ れ かさんのせいで」 「申し訳ございませんでした女王様」 「頭が高い」 「ハイ」 「もう地中に埋まりなさいよ」 「ハイ」 「おい瑠螺蔚速穂児いじめはそこらへんにしておけよ。次の撮りすぐあるんだろ?」 「そーなのよー聞いてよ長門ぉ~また来週からすぐ撮影なのよ?信じられる?休ませなさいよ!まったく人使い荒いんだから!」 「よしよーし飲み行くか?」 「いくーおごりね!」 「仕方ねぇな」 「僕も行くー♪」 「いや誘ってねぇし!」 「え、瑠螺蔚さんと僕セットだし…」 「誰基準!?」 「心配しなくても大丈夫僕自分の分は自分で出すよ」 「そういう問題じゃない!」 「え、僕長門さんいても全然気にしないからさ、気つかわないで良いよ」 「おまえのがおまけなんだよ!だめだ話が通じない。瑠螺蔚パス」 「高彬あんたついてきたら捻り潰すわよ」 「怖い!やめてあげて!」 「えーなにあんたがパスって言ったんじゃない」 「こう、言い方ってものが、あるだろ、なぁ…」 「高彬あんたついてきたら縊り殺すわよ」 「言葉の問題じゃない!そしてもっと怖い!女の子が殺すとか言っちゃいけません!クビリコロスなんてどっから覚えてくるんだようそんな言葉…」 「えーと、由良から」 「適当に言うにも程がある!逆ならわかるけどそれはないわ!」 「あーん?どういう意味よ?」 「そういうところがだよ!ギブギブギブ!暴力禁止!」 「わかったわかった。おごられるのは諦めるから、みんなで飲み行きましょ」 「わーい瑠螺蔚さんそうこなくっちゃ♪」 「華が足りないから小萩や由良にも誰か連絡して」 「じゃあ僕由良に電話する」 「小萩の番号は…誰も知らないか。あたしがかけとくわ」 「じゃあ俺予約入れとくわ」 「よーし野郎ども、いくわよー」 「はーい」 なんだかいつも期せずして飲みの場面で終わりますがよく考えたら彼らまだ…いやジュースを飲みに行ってるんですよね、きっと。 仲良きことは美しきかな、ということで、お後がよろしいようで。 さて戦国御伽草子巻ノ参、女童の不吉な予言、証文と徳川家、寺と生臭坊主、高彬の涙、そして土蜘蛛の…こうごきたいっ♪ | |
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