す、と傘が下ろされる。
先に動いたのは巫女の方だった。
「不思議な御仁どすなぁ」
此方は変わらず玉を構えたままだ。
だが巫女は柔らかに笑うばかりだった。
「異国の神さんと冥府の穢れ、一緒に背負うてはる。旦那はんの隣やったらその子は堕ちんどっしゃろ。けどなぁ」
とても穏やかな声だ。
同時に冷たく無慈悲な調べでもあった。
「何かあったら輪廻の輪には戻られへん。今はええけど旦那はんが死んだら、その子行く所あらへんのえ?」
ひとときの享楽の果てに永遠の孤独がある。
しかもそれは回避の仕様がない。
巫女は今連れて逝かねばどうにもならなくなる、と言った。
これが最後の機会なのだろう。
ちらりと半兵衛に目を遣る。
うなだれる彼は既に定めを受け入れているようだった。
巫女はますます笑みを深める。
「下らぬ茶番だ」
玉を揮う。
妖気玉が巫女の身にめり込んだ。



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