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拍手連載 【独白 -side 静雄-①】 ※来神設定、無意識に臨也のことが好きな静雄の独り言 ※静雄はいっそ気持ち悪いくらい臨也のことが好き(なはず) 【1】 この季節は、風も穏やかで陽光が心地よく降り注ぐ屋上は昼寝に最適の場所だった。 昼食を終えての30分間、静雄は屋上で昼寝をしようと向かったわけであるが、屋上に上れば案の定先客がいた。 クラスメートでも名も知らない生徒でもない。屋上には、静雄と件の先客以外の姿はない。 つまり、件の先客とは折原臨也のことだった。 ドアを開けた途端に濃厚に臨也の匂いが漂ってきたので間違いないとは思っていたが、視線の先、ちょうどコンクリートの壁で日陰になるところを選んで臨也が丸くなって眠っていた。 いつもは門田あたりに膝枕をしてもらっていることが多いのだが、今日は門田は不在のようだ。 (起きない…) 静雄が足音を殺すようにしてそっと近づいても、気配に敏感な臨也が珍しく起きる気配はない。すやすやと寝息さえたてている始末だ。 思えば、こうしてゆっくりと臨也の顔を見るのは初めてかもしれない。一方的に嗾けられ追いかけ回した挙句、ようやく捕まえたと思えばすぐに逃げられてしまうのが日常なのだから。 サラリと光沢のある黒髪が寝息に揺れる。 いつもは静雄を射抜く瞳が閉じられているというだけで酷く印象が変わってしまう。 黙っていれば端麗な顔立ちをしている臨也の寝顔は幼いの一言に尽きた。 (睫毛なげぇ…) 静雄はしゃがみこんで、その長い睫毛に徐に触れてみた。すると、ピクリと瞼が震え、慌ててその手を引っ込める。 「ん…」 (やべっ) 起こしてしまったかと身構えた静雄に、臨也はひとつ小さく唸り声を上げて眉間にしわを増やす。だが、すぐに弛緩された表情に安堵のため息を零した。 (驚かすなよな…) 自分のことは棚に上げた静雄は、心中で臨也を詰る。そして、視線は吐息を紡ぎ出す唇へと吸い込まれる。 (この口が…) 形のよい臨也の唇はピンク色に染まっており、どこか劣情を連想させられた。 しかし、いつもはその唇からは厭味や悪口ばかりが飛び出すのだ。やれ、「化け物」に始まり、最後は「早く死んで」に終わる。 臨也から毎日、それも呪詛のごとく執拗に口にされれば、もはや怒りを通り越して聞き慣れてしまった自分がいて。 (うぜぇ…) 元々口下手で話し相手もいないのだから、静寂に満ちるのは当然のこと。 静雄はそのまま腰をおろし、背を壁に預けて改めて臨也をまじまじと見つめた。 (細ぇ身体…) ――今ならばこの腕の中に大人しく収まってくれるだろうか。 そんなことを考えれば、心臓が大きく脈動する。身体が熱に浮かされている感覚を覚える。 触れれば折れてしまいそうな程の痩躯を抱きしめれば、この不思議な高揚感は収まるのだろうか。 一度気付いてしまった誘惑には逆らえずに、静雄は臨也に向かってゆっくりと両手を伸ばした。 (2011.6.1 up) ⇒NEXT…? |
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