☆派遣恋人(ニノ潤)☆ 「いらっしゃい」 玄関の扉を開け、そこに立っていた潤くんに微笑んだ。 「まいど。ニノのご所望のすき焼きの材料、買ってきたよ」 「ありがと。ごはんは炊いておいたよ」 「ホント?俺、やるのに」 靴を脱ぎながらそう言って、潤くんが上目遣いに俺を見る。 ああ、その目に弱いんだ・・・・。 「暇だったからさ。まだ早いから、ゲームやろうよ」 「了解。材料、冷蔵庫に入れるね」 潤くんはキッチンへ向かうと、慣れた様子で冷蔵庫を開け、中に買ってきた食材を入れた。 潤くんは、ある派遣会社から派遣されてきた料理代行&ゲームの対戦請負人だ。 要するに何でも屋みたいな感じで、こっちが依頼した内容に合わせて人が派遣されてくる仕組み。 俺は在宅でゲームのプログラミングの仕事をしているのだけれど、もともとゲームが好きで休みの日もオンラインゲームをしていることが多かった。 それこそ食事をするのも忘れずっと・・・・・。 その結果、栄養失調で体調を崩し入院まですることになり、会社の人間がその会社を紹介してくれたのだ。 そして来たのが松本潤。 かわいくて美人で料理がうまくて・・・・ 恋愛はめんどくさいと思っていたのに、俺は潤くんに恋をした。 最初は料理だけ作ってもらっていたけれど、手が空いた時にゲームに誘い、潤くんとゲームをするのが楽しくなった俺はゲームの対戦相手としての仕事も頼むようになった。 潤くんはちょっと不器用なところがあってそれほどゲームが得意というわけではなかったけれど、俺がアドバイスすると素直にそれを実践し、すごく俺を誉めてくれる。 おだてる、というより本気で俺に感心している潤くんはかわいくて・・・・ 2人で過ごす時間はあっという間に過ぎた。 「今日もおいしかったよ、すき焼き」 「んふ、よかった。俺もすき焼き好きだからなんかこれでお金もらうの申し訳ないな。本当ならニノの分だけ作って帰るのに、俺も一緒に食べちゃって・・・・」 「いいんだよ。俺が潤くんと一緒に食べたいんだから。1人で食べるよりもおいしいし」 「ならいいけど。片付けも終わったし、そろそろ―――」 そう言って帰ろうとする潤くんの手を、俺はほとんど反射的につかんでいた。 「・・・・まだ、いいでしょ?用事あるの?」 「・・・・・ない、けど・・・・・」 立ち上がりかけていた潤くんが、ちょっと恥ずかしそうに俺を見る。 頬がほんのり朱に染まっている。 「・・・・・じゃ、いいでしょ?延長料金なら払うから・・・・・」 そう言って、ちょっと強く潤くんの手を引っ張ると、潤くんが再びソファーに腰を下ろした。 「そんなの・・・・いいけど」 「今日は・・・・・泊まって行ってよ」 潤くんの耳に顔を寄せそっと呟くと、潤くんの体がピクリと震える。 潤くんは耳が弱い。 大きな瞳が、熱を帯びるのがわかる。 「ニノ・・・・・」 「・・・・カズって、呼んで」 「カズ・・・・俺・・・・」 「好きだよ・・・・・潤くん」 潤くんが何か言う前に、その唇を塞ぐ。 ソファーに体を押し倒し、その柔らかい髪に指を差し込む。 「ん・・・・・・っ、は・・・・・ぁ・・・・・っ」 キスの合間に漏れる声が、俺の耳をくすぐる。 その白い肌に、赤い花を咲かせたくて。 着ていたシャツをまくり上げる。 「ぁ・・・・・っ、や・・・・・・」 小さく抗おうとする潤くんの胸に唇を這わせ、その手を掴めばもうこっちのもの。 料理代行 ゲームの対戦相手 そして・・・・・ 『恋人』 |
|