☆僕の心配(雅潤)☆ 「相葉ちゃん、またミスったでしょ」 事務所へ入ってくるなりそう言って俺を睨む潤ちゃんに、俺は慌てて両手を合わせる。 「ごめんって!いやでもさ、今日の依頼人も結局潤ちゃんでいいって言ってくれたんでしょ?結果オーライじゃん!」 「まったく・・・・毎回そう言ってくれる人ばっかりじゃないんだから、気を付けてよ。女の子希望してるのに、すぐ俺に振るんだから・・・」 そうなんだよな。 弱小モデル事務所のうちは、正規のモデルの仕事だけじゃなく何でも屋みたいに受けられる仕事は何でも受けてる。 その中でちゃんとしたモデルの仕事っていうのは貴重なんだけど、相手が『女性モデル』を希望してるのについ間違えて潤ちゃんを派遣しちゃって潤ちゃんに怒られるっていう・・・・ でも相手がなぜか潤ちゃんを気に入ってくれて、さらに次の依頼までしてくれるっていうことになって結果オーライなんだけどね。 そもそもなんで女性モデルを希望されてるのに間違えて潤ちゃんを派遣しちゃうかというと――― 「しょうがないよ。だって俺にとって潤ちゃんは女の子なんだもん」 「またそういうこと言って・・・・そんな言い訳、通用するわけないじゃん」 呆れたように潤ちゃんはそう言うけれど。 でも本当だからしょうがない。 俺が心配なことと言えば――― 「それよりも、こないだの大野さん、また潤ちゃんにモデル頼みたいって」 「あ、ほんと?了解」 「・・・・ちょっと大野さんの依頼、多すぎない?潤ちゃん、大野さんと―――」 「何言ってんの、相葉ちゃん」 そう言って潤ちゃんはクスリと笑うと、俺のいるデスクに座り、俺の顔を覗き込んだ。 その顔の近さに、俺はドキッとする。 「俺のこと、信じてないの?」 「し、信じてるけど―――」 思わずどもる俺に、潤ちゃんはニコッと笑う。 「よかった」 そう、信じてる。 潤ちゃんの気持ち。 だけど、仕事に真摯なあまり、潤ちゃんが依頼人と接近しすぎるんじゃないかと心配になっちゃうんだよな・・・・。 子供のころから潤ちゃんは俺にとって一番大事な存在。 今更、他の男になんて渡せない・・・・からね。 |
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