―――『Episode of Hogwarts』1――― ※注:公式で既出の設定以外は、捏造です。「Phantom Magician」読了後にご覧頂くことをお勧めします。 彼の特徴を挙げるならば、すれ違っただけの人間であれば、 その特徴的な赤い髪を指し示すだろう。 或いは生き生きと輝く翡翠の瞳だったかもしれないし、均整の取れた体だったかもしれない。 だが、彼をよく知る人間ならば、まずその「幸運」を挙げる。 それは、この世に神という存在がいるとすれば、 こんな人間がいたら楽しいんじゃないか?と面白半分で、幸運値をMaxに設定したような、そんなデタラメさだった。 くじや賭け事で一番になるのは当たり前。 うっかり傘を持って出かければ、予報に反して雨が降り。 欲しいと思ったものは手に入らないことがない。 特に、彼は己で一番誇るべきは対人運だと考えている。 彼の家は、スコットランドの伯爵家に代々仕える騎士の家系だ。 長男でもないため、領地経営など小難しいことはしなくても良く。 厳しくも優しい両親に、人前で恥ずかしくないだけの教育を施され。 なにより、伯爵唯一の嫡子である少女と彼は乳兄弟だったため、皆がよくしてくれた。 毎日が充実していた。 ただ、そんな愛すべき日常は、伯爵令嬢の一言によって、終わりを告げる。 見習い騎士としての鍛錬が一通り終わった後、それを見計らって彼女は彼に会いに来た。 長い青みがかった髪をきりっと一つに縛り、乗馬服を愛用する彼女は、その言葉遣いといい、 今後きっと男装の麗人になっていくのだろう、という妙な確信がある。 先進的な考えの彼女が、婿を取ったとしても、そう簡単に楚々とした貴婦人になるはずはないだろう。 今も、領地内を跡取り息子のように回っているのを、付き合わされる彼はよく知っていた。 もっとも、なよやかな淑女では、彼とこうも仲良くはならなかっただろうけれど。 「リック。悪いのだが、君に行ってほしい場所がある」 「それは命令かい?ロウェナ」 「いいや。親しい友人へのお願い、だ」 なんでも、領地内のある村にマグルの孤児が迷いこんできたが、 その子は魔力に目覚めており、かつ、中々に問題を抱えている、ということらしい。 「問題?」 「そうだ。ただ、報告だけを見る限り要領を得ないというかなんというか……。 とにかく、トラブルが頻発しているようだ」 「魔力に目覚めたてのマグルなら、トラブルくらい当たり前だけれどねぇ」 「いや、魔力は関係なくトラブルが起こっているようだ」 「?」 少女――ロウェナ自身は詳しい話を知っているようだが、 それを少年――ゴドリックに話すつもりは、どうやらないらしい。 頭の良い彼女のことだから、きっとそこになんらかの意図があるのだろう、と納得し、 ゴドリックはとりあえず自身のすべきことを確認した。 「で、僕にその子の様子を見てきてほしいって?」 明るく瞳を瞬かせるゴドリック。 一応は興味を持ってくれたらしいことに、ロウェナはそっと安堵の息を漏らし、「君が一番適任だと思う」と頷いた。 本来なら彼女が行くべきかもしれないが、トラブルの渦中に伯爵令嬢が乗り込むのは確かに問題だ。 そう判断はするものの、その物言いが少しばかり引っかかる。 歳が同じくらいだから適任なのだろうか?と首を傾げながら、 ゴドリックは早速明日その村へ向かおうと、各所に連絡をしに向かった。 彼はまだ知らない。 愛すべき日常が、その出会いによって、変わっていくことを。 愛すべき日常が、更に愛すべき非日常へと変わることを。 ―――作者のざれごと♪――― 久しぶりの拍手新作は、ハリーポッター連載「Phantom Magician」「Butterfly Effect」の前日譚です。 はっきり言いましょう。これはようは本サイトにおける創設者はこんな奴らだ!というのを、 皆様にお伝えしようという、それだけの不定期連載のようなものです。 もちろん、注意書きにもある通り、公式で既出の設定以外は、捏造です。 「Phantom Magician」読了後にお読みになるのが一番お勧めです。 拍手して下さって本当にありがとうございます。 メッセージのお返事は、出来れば日記辺りでしますので、覗いてみて下さいね。 |
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