色
花は薄紅色がよく似合う
だが、それはあの男が選んだ色。 「君はその服の色は好きかい?」 「好きです。かわいいし。せっかくもらったものですし。」 そうはにかむように言った。 「君にはもっと似合う色があるよ。 この色の布で、なにかあつらえよう。」 本当は、君はどんな色でも似合うと思う。 けれど、自分が思う色で彼女を染めてしまいたい。 そうすることで、最初に彼女を見つけ、彼女の心の中にいる あの男に勝った気持ちになる。 花は知らずに孟徳の言葉をそのまま飲み込む。 「ありがとうございます、孟徳さん。」 その言葉に、ほんの少しの苦味を感じて そして、それ以上の優越感をもって 孟徳はうなづき微笑んだ。
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