| 小さな嘘 あたしには彼氏がいて あなたには彼女がいる これは出会ったときからずっとそうで。 何度かお互いの隣の大切なヒト達は入れ替わったけれど、あたし達の関係はずっと変わらない… そう ――― ずっと、ずっと。 友達以上恋人未満。 恋人未満なのにあなたは優しい。 恋人未満のあたしにもこんなに優しいんだから、きっと恋人にはとろける程の愛情をあげるんだろうね あたしね… 本当は”彼氏”なんて居ないんだ。 あなたと出逢ってすぐに別れちゃったの… だけど、あなたが彼女の話ばかりをするから、あたしの彼氏の話を聞きたがったりするから。 小さな嫉妬心と友達以下になっちゃうことがこわくて言い出せなかったんだ。 あなたへの期待があなたに伝わっちゃいそうでこわくて言い出せなかったの。 今もこれからも、ずっとずっと友達以上恋人未満の関係を続けるならば あなたに彼女がいたら、あたしに彼氏がいる。 その方がバランスがとれてるでしょ？ ずっとずっと友達なんだから… 隣に大切な人は別にいるよって顔してるあたしの方が付き合い易いでしょ？ あたしの気持ちが… 本当は友達なんかじゃいられない… 切なくて苦しくて、毎晩あなたを想って溜め息を零してる。 なんて知ったら、優しいあなたはあたしの前から去って行っちゃうでしょ？ だから、云わないの。 あたしの秘密。 今日もあなたに頭の中だけで生きてる虚構の彼氏の話を笑ってするの 小さな小さなあたしの嘘 優しいあなたの友達以上恋人未満でいるための小さな嘘 あなたが彼女の話をするたびに 小さく傷つくけれど あなたの隣であなたの笑顔を見ていられるのは幸せで、あたしも友達の顔して笑うの。 あたしの心は小さな小さな傷がたくさんできてるけど あなたの隣で友達として笑っていられるなら、痛さも感じないよ。 痛さも我慢できるもの。 あなたが好きだから ―――― 優しいあなたを苦しめちゃうだろうから、絶対に告げられない想いだけど あたしの心の中でだけ、あなたを想う事を許して欲しいの つづく |