(拍手ありがとうございました!/SS現在4種類)


 漸く探し当てたその人は、鉄棒に両足を掛けてぶら下がったままの状態で此方を見つめていた。逆さまになった薄い青の瞳がぱちぱちと瞬きをすると、薄い身体はそのまま一回転して硬い床に着地した。曲芸師のような動きにかすかに瞠目する。
「おはよう」
「おはようございます」
 お互いに愛想笑いをしなければならないような関係でもない(これは私と彼とが親しいということを遠回しに表す言葉ではなく、単にそうする必要性が無いということだけを意味する直接的な表現である)が、彼はいつでも誰にでも、一度目が合えば天使のような顔でにっこりと微笑んで軽く片手を上げてみせることのできる人間だ。
 私は微笑み返しはしなかったが、彼もそれを気にする様子はない。
「私は元気だよ」
「まだ何も訊いていませんよ」

[AM8:00/トレーニングルーム(空き部屋)/春日江+忍宮]



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