(拍手ありがとうございました!/SS現在4種類)



「……ノックを」
「しましたよ」
「……するなら、入れと言うまで待てと云うんだ」
 忙しない、これだから落ち着きのない人間は嫌だ。恐らくは苦々しいものになっているであろう表情でこぼした小言に、侵入者はただ、「はいはい」と気の無い相槌を返した。
「何の用だ」
「報告に来ただけです、この前言われた件の」
 カチャリ、微かに金属の擦れる音がした。暑苦しい黒手袋を嵌めたまま、後ろ手で閉められたドアに少しだけ息が詰まる。今日の討伐報告は一体何体だったか。数字としてだけは把握している。
「無駄なこと考えなくても、用もないのに来ませんよ。こんな湿っぽい部屋」
「……駄犬が」
「アンタの犬じゃないですからね」
 分かりきったことを言うんじゃない。だから貴様はいつも一言余計なのだ。
 「それじゃ始めましょうか」、使い古した執務机の上、好き勝手に書類を広げ始めた男を止めるのも馬鹿らしくて、ただ白紙の上を滑る黒い指を見つめていた。

[PM6:00/司令室/皇+柊]



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