お姫様は王子様と永遠を
~日常会話46・リョーマ&不二&千石編~
「今日は顔はお姫様だけど、中身は獣な青学のマネージャーちゃんに会いに青学に来ちゃったよ! さ~てどこかなぁ……ん? あれは、青学の不二君……北海道の木彫りの熊の置物を持って何してるんだろう」
「青学の獣ちゃんが、毒舌で礼儀正しいけど口は悪いことは周知の事実だけど、でもああ見えて意外に気遣い屋さんな一面があるのもあの子と仲がいい人間なら結構知っている事だよね。あの子を慕う女子の子にタピオカミルクティーを貰って涙ながらにお礼を言っていたのを見たことがあるよ。というわけで、『全国でも有名なお土産だけど実際に貰ったらどうすればいいかちょっと悩むランキング』に食い込むに間違いない北海道の木彫りの熊の置物をプレゼントして、気遣い屋な困った反応を見て楽しんで遊ぼうかな……クスッ」
「待ったー! いじめはよくないぞ!」
「誰かと思えば、山吹中の千石じゃないか。今日はどうしたの? 片手にファンタを持って、越前に用事?」
「これは、乾君がキミのところのマネージャーちゃんを籠絡するにはその許婚から落とすといいって聞いて」
「ああ、餌付けだね」
「確かにあってるけど、言い方がすごく黒い! ええっ、最初の盗み聞きしたセリフといい、ええっ!? 黒い!!!」
「それで、餌付けの他に何か用があるのかい?」
「(あくまでも餌付け!)一番の目的はあの子に会いにきてね。せーっかく仲良くなったから、あわよくば越前君も含めて一緒に帰ったりとか……」
「そう。じゃあ、僕はちょっと木彫りの熊をプレゼントする予定があるから……」
「いじめはよくない! そうだ、不二君を止めようと思ったんだ!! 『全国でも有名なお土産だけど実際に貰ったらどうすればいいかちょっと悩むランキング』に入ると知りつつ木彫りの熊の置物をプレゼントするのはちょっと道徳的にどうかと思うな俺は!!」
「でも僕は……貰って困るものを渡されて困った顔をするあの子の表情を見て眺めて写真を撮りたいだけだから」
「その理由はもっとどうかと思うよ!!」
「これヒグマでも、駄目かな?」
「それは実に些細な違いだ!!」
「リョーマ様リョーマ様、もし私にリョーマ様のお履きになっている靴下をプレゼントしなければ極寒の海にまっさかまな展開になりましたら、どうしますか?」
「喜んで海に飛び込む」
「シュールな会話を交わしながら、俺の当初の目的のワン・ツーがやってきた!! 今の黒々とした状況ではアンラッキー!!」
「あれ~ですよ。ラッキーさん、不二先輩に追い縋って何を、……もしや、新たなカップリングの到来ですか!!」
「背景に落雷を落としながら俺の分からないことを何か言ってる! なんだか、俺分からなくてラッキーな予感。そうそう、越前君。これ、あげるよ」
「あ、どうもっス」
「リョーマ様にファンタでお近づきですか! 千リョはノンノンなのですーーー!!」
「ぐっ生まれて初めてのドラゴン・スクリュー! 確かにお近づきになりたいけど、そのなんとやらリョではないーーーーっ!!」
「あっ、初めて見る技だね」
「結構新技の勉強に余念がないっスからね(ごくごく)」
「(撃沈)」
「女性好きだけではなく、そちらもいけますとは……個人の趣味嗜好は尊重すべきことですが、リョーマ様だけは駄目なのですよ。不二先輩が手招きをしています、はいです~」
「はい、これキミに似合いそうだと思ってプレゼント。僕だと思って大切にしてね」
「俺が一瞬真っ白になっているときに。遅かった! 真っ白な微笑みで真っ黒な目論見と共にヒグマの置物を渡した後だ! 反応は一体……」
「あ、ありがとうございますです。た、大切に飾らせて頂きます……」
「すっごく困った顔で、でも律儀にお礼を言っているーっ! い、いい子だ! 獣ちゃんかと思ったけど気遣いのできる人の気持ちを踏みにじらない、いい子だった!」
「そんなに喜んでもらえて嬉しいよ(カシャカシャ)」
「(ど、堂々と写真を撮ってる……青学って恐ろしい場所だな)」
「……あんまり無理しないほうがいいんじゃない」
「い、いえ嬉しいのです……。ただ使い道に困っているだけでして……お気持ちは嬉しいのです……」
「じゃあ、僕、大石に髪形のカットの秘訣を聞いてくるから」
「(颯爽と風と共に去って行った……)」
「よく、頑張ったと思うよ」
「リョーマ様の優しさが身に染みるです。ぐずっです……そういえば、ラッキーさんは何故青学に?」
「えっと……とりあえず、よかったら奢るからケーキでも食べて元気出してくれると嬉しいな」
食べたケーキはどことなくヒグマの味がしたような気がします編。
拍手誠に有難う御座います、深海の栄養源ですv |
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