「ねえ、ちょっと」 そう呟くのは、背中に抱きつく光だった。 私の背中は、まるで彼の特等席。 そして私も、彼に抱きつかれる事が嫌いではなかった。 「重いよ、光ー」 そんな風に文句を口にしながらも、私は嫌だと思った事がない。 思うはずがない。 だって。 「でも、嬉しいんでしょ?」 「う……」 それは凄く。 図星だった。 小さく声を漏らして、私は顔を赤らめる。 この温もりを離したくないと思ったから。 否。 この温もりに離れてほしくないと思ったから。 「ほんと、素直じゃないな~」 くすくす。 そんな風に笑う声が、私の耳に掛る。 ふわりとくすぐるような吐息が、私の体温を上昇させていく。 恥ずかしい…… そう思うのに、私はどうしても光の温もりを感じていたかった。 それは愛。 それは執着。 それは。 好き。 「まだまだ僕の方が好きって事じゃん」 小さく呟く光の言葉。 その言葉に、不覚にも私の心臓はとくんと跳ねた。 もっと好きになればいいのに |
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