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ささやかではありますがお礼文を用意させていただきました。楽しんでいただければ幸いです。


『知らぬは~』過去編④のラストで問題があることに誰も気付かなかった場合の物語です。
もしもアッシュとルークが二人暮らしを諦めなかったとしたら・・・・・・もれなくローレライが付いてくるので二人きりではありませんが、そんな「もしも」の物語です。
『知らぬは~』とは設定が異なる部分がありますが、ネタバラシ(?)は最後で。


【簡易説明】
*詳細は『知らぬは~』過去編①~④を参照していただければ幸いです。
アッシュとルークとローレライ逆行。
場所はルーク誕生時のコーラル城。ルークの創られた部屋でヴァンを追い出して二人きりになったアッシュとルーク(+ローレライ)。これからのことを話し合っていたら何故かこんな結論に辿り着いてしまいました(苦笑)






アッシュはルークと共にいることを望んだ。もちろんルークに否などあるわけなくて。問題があるとすれば「それでは遊べないではないか」とローレライが駄々をこねたことぐらいだろうか。
ウザい、とアッシュが思ったかどうかは知らない。
そうだよな、とルークが同意したかどうかも知らない。
つまらないではないか、とローレライが騒いだことだけは確かだ。それから何かを思いついたように光球が瞬いた。
―――そうか、我も共に行けばよいのだな。
それはとても素敵な思いつきのように思えた。あくまでもローレライ的にではあるが。アッシュにとっては嫌がらせでしかないだろう。
「光の球なんか連れて行けるか! 却下だ」
一応ヴァンの目からも、そしてルーク・フォン・ファブレを探しているだろう母国キムラスカからも逃げ隠れしなければならない身である。目立つことはできないというアッシュの言い分は正しい。理由は後付けで本音は二人きりを邪魔されたくないからだろう、なんてことを突っ込んではいけない。とにかくアッシュはローレライを諦めさせようと頑張った。
たとえこじつけであったとしても、アッシュの言っていることには一理ある。
そこでローレライはアッシュとルークを足して二で割って―――足しても割っても同じだったかもしれないけれど―――少し年をとらせて二十代後半か三十代前半ぐらいの青年の姿を作り出した。
「おまえたちのその形(なり)では保護者が必要だからな。どうだ? 親子か年の離れた兄弟に見えるだろう」
珍しくローレライがまともだ。言っていることは正しいのだが、本音は混ざりたかっただけだろう。
ルークはちょっと面白そうだと思った。アッシュはルークと二人きりの方が良かったのだが、ルークが嬉しそうだから、まぁいいかと流された。
しかしそれをしてしまっては色々問題があるのではないだろうか、と誰も気付かなかったことは誰にとっての幸運で、誰にとっての不運だったのだろうか?
選ばれなかった道の先にあるものを知る術はない。人は、世界はただ選んだ、もしくは選ばされた道を歩むより他ないのである。そして大多数のモノはここが分岐点であり、たった今選択がなされたことを知る由がなかった。
「問題はここからどうやって抜け出すかだな」
扉に鍵ぐらい掛かっているだろう。掛かっていなかったとしても扉の外には見張りが張り付いているだろう。ヴァンやその部下を倒して出て行くには十歳児の身体というのはなんとも心許ないものだった。だからと言って諦めるつもりなど更々ないが。
悩むアッシュと、アッシュに任せておけば大丈夫と思い込んでいるため何も考えていないルーク。保護者であるという自覚を持ってしまったローレライは自分が何とかしなければ、と必死に考えた。
「我に任せておけ」
ローレライがそう言ったので任せたのが敗因だったのだろうか? あるいは英断であると言うモノもいるかもしれない。
ローレライの身体が揺らぐ。再び光球の姿に戻ったローレライは二人を包み込むように膨らみ、限界に達したのか今度は収縮していく。そして弾けた。天に向かった光は天井を突き破り星空を翔る。
天井の落ちる音を聞きつけたヴァンがそこに駆けつけたとき、月明かりに照らされた室内に動く影はなかった。



光は何処へ向かったのでしょうか?
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