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最終回後妄想そのいち
ゼロスザクとアーニャとオレンジ編
限られた人物しか知り得ない秘匿回線。
それこそゼロレクイエムに直接関わった人々−−今も何処かを旅している魔女、元キャメロットの二人、隠密として動いているくのいち、そして。
オレンジ畑に身を寄せている彼。
普段この回線が使われることはない。使う必要がない。
だからこそ、何かあったのかと、緊張に身を包みながら回線をオープンにする。
と、そこに映ったのは元同僚の薄紅色の髪を結い上げた少女だった。
何故彼女が、と思うと同時に、身に纏ったオーバーオールを見て、ともにオレンジ畑に渡っていることを思い出す。
けれど、何から言って良いか分からない。
久しぶり?
どうかした?
一瞬の逡巡の間に、画面の中のアーニャが口を開く。
「“ゼロ”」
そうだ、自分はゼロなんだ。
返す言の葉なんて決まっている。
そう思い直すと、スザクは仮面の奥で一旦目を細め、声を出す。
自分は誰だ。ゼロだ。
「これはアールストレイム卿、一体何の用でしょう」
瞬間、画面の向こうのアーニャが僅かに顔をしかめた。
感情を表すことをしない彼女が珍しくも。
「ジェレミアに聞いた。相変わらずあなたは甘い」
そこで言葉を止め、アーニャはふっと頬を緩める。
「…でもありがとう」
「…何のことかな」
「それでも良い」
淡々と紡いでいくアーニャに、スザクはとぼけることしかできず。
告げるつもりなど、ない。
ただ、心優しいこの少女の痛みを少しでも取り除いてあげたいという、ただの自己満足にすぎないだけ。
黙り込んでしまった彼に、少女は決意を秘めた瞳で告げる。
「ただ、1つだけ覚えておいて」
何を、と震えそうになる唇を叱咤し、キュッと引き結ぶ。
そんなスザクの仮面の内など見えないけれど、アーニャは何かに堪えるかのように告げる。
「あなたが望むなら、そのあなたを私は記録にする。だけど」
――私は覚えているから。
それじゃあ、と言い置いて、アーニャはその空間から立ち去った。
「…ジェレミア卿」
「私も大概甘いということだ」
咎めるように暴露したであろう犯人の名を呼べば、そんな回答。
肩を竦めながらも、悪びれない様に、スザクは仮面をつけていても分かる程に溜め息を吐く。
嫌になるのはジェレミアに対してではない。
アーニャが記憶を取り戻せたことを嬉しく思い、あそこまで言ってもらえたことに喜びを感じた自分自身だ。
「“枢木スザク”の希望を叶えてくれてありがとう、ジェレミア卿」
「恐らく頼まれなくとも私自身の判断でもそうしただろう」
「…ありがとう」
明日を望むと言いながら、けれども昨日が見つからず怯えていた少女に過去を贈ったその矛盾。
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