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今回表示される短文はXrdソルカイです。




「今もつけてんのか? マメだな」
 一仕事終え、カイの私室を訪れたソルが几帳面な字の走る日記帳を取り上げてそう言った。めくれば、昔のそれと同じ位置にこの日記帳を使い始めた日付が記してある。今から二年前のものだ。大事に使われているのか、年月の割に日記帳は綺麗な装いを見せている。
「昔ほど長くは、時間が取れないのだけれど。こういうのは習慣だからな。一度やめたら、たぶんもうやらないだろうし」
「だろうな。覚えがある。テメェほど俺はマメじゃあ、なかったがな」
「おまえが? 日記をつけていたのか。いつ」
「ずっと昔の話だ。坊やが生まれるより遙かに」
 日記帳を捲る手を止めぬままソルがはぐらかした。カイもそれ以上は追求をせず、そうか、などと頷くに留める。その代わりに手を伸ばし、腰を曲げてカイの顔に近付いて来ていたソルの頬に指を添えた。
「何を書いていたのかぐらいは、尋ねても構わないだろう?」
 悪戯っぽく尋ねると、彼は返礼の代わりにカイの指を掴んで不意打ちとばかりに舐め取る。
「たとえばこういうなんでもない日のことだな」
 にやりと笑んでソルが言った。


/なんでもない日



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