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拍手ありがとうございました! web拍手お礼ss「十代×ヨハン」前提のユベルとヨハン話。 ※若干性描写を臭わす描写がありますのでご注意ください。 ※どんな十ヨハでも耐えられる、屈強な精神をお持ちの方以外は気分を害する可能性がありますので閲覧をご遠慮ください。 ふと、時計に目をやると、針は真夜中の時刻を指していた。 十代の部屋を訪れたのは、夕陽が沈み始めた頃だったから、かなりの時間を過ごした事になる。 デュエルをしていたのならば、どれだけ長い時間を彼と共に過ごしたとしても全く不思議ではないのだけれど、今日の俺たちはデュエルどころか、カードに触れてさえいなかった。 それだけでも珍しいのに、事もあろうに、裸身で絡み合っているのだ。 けれどそれは恋人同士の睦み合いには程遠く、どちらかといえば、格闘技に近い激しい行為だった。 双方同意の上に行われているはずなのに、まるで暴行されているようなそれに不快を感じないのは、相手が十代だからに他ならない。 どうしてこんな事になったのか、きっかけはもう忘れてしまった。 ただ、お互いタイミング良く、そんな気分になってしまったとしか言いようが無い。 十代の真意はわからないが、気まぐれだとしても、求めてくれたのはうれしかった。 なにしろ、俺にとっては、以前から密かに抱いていた願いが、ついに叶ったのだから。 「…ヨハン」 名を呼ばれ、声の主に視線を移す。 なんだよ、と返事をしたつもりが、喉が枯れて声が出ない。 ぱくぱく、と口を動かすだけの俺に十代は苦笑した。 「何か飲むか。大したモンはねーけどな」 十代が俺から身を離し、ベッドから降りて備え付けの冷蔵庫に向かう。その後姿を、俺は複雑な面持ちで眺めていた。 あんなに激しい行為をした後なのに、十代があまりにも、「何事もなかった」かのように、平然としていたからだ。 部屋に充満する雄の臭いや、身体中に残る痛みや内出血(キスマークとは到底呼べない)の跡、体内に残る自分のものでない体液など、いくらでも状況証拠と呼べるものがあるというのに、十代は部屋を訪れた時から変わらない姿で、俺の前にいる。 男同士とはいえ、あんなに乱暴に体を重ねた後なのだから、優しい言葉くらいかけてほしかった。 気持ちよかったとか、大丈夫か、とか。 文句のひとつでも言ってやりたかったが、女みたいな事を言う、などと思われるのはプライドが許さなかったので、だんまりとするしかない。 「麦茶でいいか? …あ、コップがねぇや」 「いいよ、そのままで…」 「このペットボトル、2リットルあるぜ。今のお前には重いだろ?…おい、ユベル」 十代が、この場にふさわしくない者の名を呼んだので、ぎょっとする。 やめろ、と止める前に、闇の中からすうっと、ユベルが姿を現した。 「何か用?」 「悪いけど、食堂からコップ取ってきてやってくれよ。俺は風呂に入ってくるから」 「…わかった」 ユベルはちら、と俺を一瞥して、静かに部屋を出て行った。 十代は呆然としている俺を気にも留めずに、ちゃっちゃと風呂の支度をしている。 「ヨハンはまだ身体動かないだろ?しばらく休んでいけよ。俺は風呂に入ってくるから」 「え、ちょっ…」 俺とユベルを二人っきりにするつもりかと、叫ぼうとしたけれど声が出ない。 十代はじゃあ後でな、と言って、さっさと部屋を出て行ってしまった。 (あいつ、何考えてるんだよ…!!!) 優しい言葉をかけるどころか、動かない俺を置き去りにして、さっさと風呂場に行くなんて。 最低なやつだと胸の奥で毒づくと、十代と入れ替わるようにユベルが戻って来た。 (げっ…) ただでさえ嫌われている相手に、身体を重ねた現場を見られたとあっては、何をされるかわからない。 ユベルの行動が予測できずに硬直していると、ユベルは無言でガラスのコップに麦茶を注ぎ、差し出してきた。 「ほら。飲めば?」 「……えっ」 恐る恐るユベルの顔を見上げれば、信じられないほど穏やかな顔がそこにあった。 嫉妬や羨望などといった感情とは無縁の顔だった。 「…サンキュ」 おそるおそるコップを受け取ると、ユベルはくるりと背をむけて、窓の方へと移動する。 「窓、開けていいかい」 「あ、ああ」 そう、とユベルは頷いて、カラカラと音を立てて窓を開ける。 そよそよと、室内に吹く風が、火照った身体に心地よい。 ユベルはといえば、窓の縁に腰掛けて、外を眺めている。 俺の姿を視界に入れたくないのかとも思ったが、多分それは被害妄想で、十代を待っているのだと思った。 気まずい沈黙が流れる。 重苦しい雰囲気ではなかったが、かつて敵対した相手と時間を共有するのはどうにも居心地が悪い。 それが親友の全てを奪った相手ならなおさらだった。 「…俺に何か言う事、ないのかよ」 喉の奥から搾り出すように問うと、ユベルは視線だけこちらを移した。 「…くさい。汚い。早く身体を拭いたらどうだ」 「そういう意味じゃなくて…」 言い終わらないうちに、ひんやりと冷たい濡れタオルを顔面に投げつけられた。 食堂にコップを取りに行った時に、いっしょに用意してくれていたのだろうか。 やむを得ず、投げつけられたタオルで身体を拭う。実は先程からずっと気持ちが悪かったのだ。 早く自室に戻ってシャワーを浴びたかったが、汚れた身体に制服や下着を着用することは躊躇われたので、正直ユベルの心遣いは有り難かった。 けれど、ユベルにとって何物にも変えがたいほどの十代と、身体を重ねた相手に対して、どうして何の感情も示さないのだろうか。 以前のユベルであれば、嫉妬のあまり激昂し、俺を殺しかねないはずなのに。 「お前は、平気なのか。俺が十代と、こういうことをして」 その言葉に、ユベルが俺に身体ごと向き直る。 俺を正面から見据えて、しばらく沈黙していたが、ややあって、ゆっくりと口を開いた。 「僕が、君に何らかの感情を抱く必要はない」 「どうしてって…」 「十代が唇を寄せたからって、コーヒーカップに嫉妬はしない。十代の肌に触れたからといって、肌着に嫉妬はしない。つまりはそういう事だ」 「……」 ユベルの返答の意図がすぐには飲み込めず、いや、認められずに呆然としていると、タイミングよく十代が部屋に戻って来た。 「ただいま。ヨハン、もう動けるのか?」 「あ、ああ…」 「そうか。もう遅いし、今夜は泊まっていけよ」 「…いや、帰る。シャワー浴びたいし、ここのベッドは狭すぎるから」 無理矢理身体を起こすと、手早く身支度を整えて、ユベルから逃げるように部屋を飛び出した。 寮を出た瞬間、足元がぐらついたが、いつの間にか隣りにいた十代に抱きとめられた。 「ムリするなって。…ユベル、俺ヨハンを送ってくる」 「わかった。気を付けて」 十代の肩をかりて、ふらつきながら帰路を辿る。 彼の身体は風呂上りの熱気でとても熱く、かすかに石鹸の匂いがした。 いつもなら十代の体温や匂いを感じると、嬉しくてドキドキするのに、今日はなんだか悲しかった。 ユベルの言葉が、予想以上に胸に突き刺さっているからだ。 「…なぁ。ユベルはなんであんな大人しいんだ」 「超融合してからだな。多分、本来のあいつはああなんだ。ま、口は悪くなったけどな」 「すごく嫉妬されると思ったのに」 「もう嫉妬なんてしないぜ、あいつは。そんな必要ないからな」 十代のさりげない言葉が、さらに胸に突き刺さる。 それはどういう意味だ、と尋ねようとしたら、不意に十代の唇が耳に寄せられた。 「…ヨハン」 囁きながら、耳たぶに口付けされる。そのまま舌で舐め上げられると、ぞくり、と身体の奥に潜んでいる欲望が震えた。 「やめろよ、こんなとこで。誰かに見つかるかもしれないだろ」 「誰もいないだろ、こんな夜中に」 「やめろって。まだ足りないなら、帰って、ユベルを抱けばいいだろ!」 「何言ってるんだ。俺とユベルはあんな事しねえよ」 あんなこと? あんなことってなんだよ。 思わず飛び出そうになった言葉を、必死で飲み込む。 「ユベルとは、あんな事しなくていいんだ。あいつは俺にとって特別な存在だから」 「とくべつ…」 じゃあ俺は? そう尋ねようとしたけれど、それは声にはならなかった。 end |
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