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(コードギアス )
ある春の日、スザクは政庁のすぐそばで1人の少女に出会った。
白い肌にシルバーの髪の毛。サイドは少し長めで後ろはボブくらいの長さ。瞳は言葉では言い表せないくらいの色の綺麗さだった。
あえて言葉で表すのなら、静かにたたずむ月のような、キラキラ輝く星のような美しさ・・・という表現が似合う感じだった。
(綺麗な子だな・・・)
アッシュフォード学園にも可愛い子は多いが、この類の美しさを携える少女はいないだろう。
18歳の少年が見惚れていると、少女がかぶっているベレー帽が風で舞い上がった。
「あっ・・・・・!」
少女が慌てて押さえようとしたが、ベレー帽は風に舞い、スザク の方へと飛ばされてくる。
腕を伸ばしてキャッチすると、少女の綺麗な瞳は驚いたように大きく開いていた。慌てて少女は駆けてくる。
「すみません!取っていただいてありがとうございます。」
鈴を転がしたような可愛らしい声色で少女は言った。うっすら口紅が塗られた唇でさえ、綺麗だった。
「あ、いえ・・・。たまたま僕の方に飛んできたので・・・」
帽子を返すと、彼女はもう一度お礼を言い、片手に抱えた本やノート類を抱え直してお辞儀する。
スザクも慌ててお辞儀を返した。そのまま少女は政庁の方へと歩いていく。正面入り口からは入らずに、違う入り口から入っていった。
スザクは少女の姿が見えなくなるまでずっと目で追っていた。姿が見えなくなると小さく息を吐く。
「なに、やってんだろ・・・。」
言葉が一つ、口から出た。ユフィーを失ってから、もう恋はしないと誓ったはずだ。
大切な人を奪われる痛みは、もう味わいたくないから・・・・。スザクはゆっくり歩を進める。
綺麗な子。ひと目奪われた子。忘れようと努力する。
しかしこの後、スザクはこの努力が無駄だったことを痛感することになる。少女とスザクの物語は、これから始まるのだから。
月のような、星のような。
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