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 ザクザクザクザク

 土に穴を掘る音が、深夜過ぎの墓場で響く。
 正確には、半日ほど前に掘り返した後を、再び埋めなおす音だ。
 ヤレヤレ、こういう仕事は出来ればもうしたくないものだな、と、真庭蝙蝠は心の中で嘆息する。
 彼の隣には、同じく道具を手に穴を掘る狂犬の姿がある。
 他に人影は無い。
 いや、これも正確に言うならば、後二人―――もう人とは呼べないかもしれないがとりあえず人『だったモノ』は居る。
 一つは、首に絞殺痕のくっきりと残った、真庭春蝉。
 一つは、喉笛を見るも無残に抉られた、真庭松蝉。
 共に、既に息絶え、後は棺桶の中で眠るしかない、冷たい死体である。
 しかし、蝙蝠が殺した松蝉の死体を表沙汰にする訳にもそのままにするわけにもいかない。
 とりあえず埋めることにはしたものの、かといって殺したその場に埋める訳にもいかない。
 そこで蝙蝠と狂犬は、妥協案として春蝉が半日前まで埋められていた春蝉の墓に、春蝉の死体を埋めなおすのと一緒に松蝉の死体も埋める事にしたのだった。

「ふぅ」

 狂犬が、息をついて額に浮かんだ汗を拭う。

「これで、いいでしょう。とりあえずの体面は整えられたし」

 ポンポンと土を軽く均す狂犬の弁に、蝙蝠は軽くうなずく。
 春蝉と一緒に埋める、とは決めたものの、無論棺桶は一つしかない。
 まさか夜中に死葬班をたたき起こす訳にもいかず、仕方なく春蝉が元々入っていた棺桶に松蝉も無理矢理入れたといった形を取った二人であった。

「こんな埋め方だったら、あたしたち、二人に怨まれそうね」
「かもな。何せ、殺し殺された同士だからな」
「なのに、あんなに密着させちゃって。ほぼ抱き合ってた感じじゃない?」
「仕方ねぇだろ。一人分の棺桶に二人を無理矢理詰め込んだんだ」
「まぁ、そりゃそうかもしれないけど」

 肩を竦める狂犬は、ここでふと、視線を真下に落す。

「………松蝉ちゃんと春蝉ちゃん、仲良しだったのにねぇ」

 ポツリと、そう呟いた狂犬の顔は、蝙蝠の位置からは見えない。
 が、大方の想像はつく。
 
「ま、一緒に埋めだんだ。あの世でも一緒の場所に居るかもしれねぇし、喧嘩の続きなり仲直りなりすりゃぁいいさ」

 だから蝙蝠は、その小さな肩を軽く叩き、そのまま歩き出す。
 その背中を、「待っておくれよ」と狂犬の声が追った。




初代蝙蝠さんと狂犬さん。
何となく、春蝉さんと松蝉さんを一緒に埋めてたら面白いかな?と(笑




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