銀時、とヅラに呼び止められた。
んだよと返すと、話があるからちょっと俺の部屋に来いと誘われた。めんどくせえと一蹴すると、今日知人から貰った水羊羹があるんだがそうかいらないのか、と返ってくる。バカヤローヅラそれなら話は違うだろ!
俺はすぐに身を返して、ヅラの部屋についていった。


「大体貴様は日頃からふざけすぎだ。やれ遊廓に行っただのどこぞの金持ちの情人を寝取っただの純朴な町娘を引っ掛けただの!少しは節操というものを持ったらどうなんだ。貴様のだらしない女関係のせいで先日ここに間者が送られてきたぞ。俺はてっきり天人共の差し金かと思ったが全然違った。大事には至らなかったから良かったものの、もし何かあったらどう責任を取るつもりだったのだ。昔から貴様は引っ掻き回すだけ引っ掻き回して飽きたらすぐにほっぽり出してどこかに行くだろう。その悪癖をなんとかしろと言ってるんだ!貴様のような口も性根も悪い輩が何故女子にもてるのか俺には全くわからん。女子とは一体どうなっているのだ?まあそれはともかく、いい加減俺をヅラと呼ぶのは止せ。部下たちまで真似をし始めてヅラさん!などと呼ばれた時のこの俺の悲しみがわかるか…ッ!?俺はヅラさんなどではない桂さんだッ!!大体ヅラさんだと一文字間違えればグラサンになってしまうではないか…!!俺は間違ってもグラサンなどではないし某番組の司会者でもない。いい加減にしないと貴様のこともチビ杉と呼ぶからな!チビ杉は全然シークレットじゃないシークレットブーツを履いていてさも自分は背が高いのだと思い込もうとしてる悲しい奴だということも広めるぞ。わかったか。広めてほしくなければ少しは大人しくしろ。あと銀時は皆のものだから独り占めするな。―――――ということを高杉に伝えておいてくれ」


ふーん、と、俺は相槌にもならない声を漏らしながらつまようじをくわえていた。
妙な迫力に圧倒されたのと、水羊羹に夢中だったので話に横やりを入れるタイミングがつかめなかったのだ。
この羊羹、まじうめぇ。
すべてまるごとぺろりと平らげ、それでも名残惜しくてつまようじをぺろぺろ舐める。味なんて残っちゃいないが。…っていうか、なんの話だっけ?

「聞いているのか銀時。途中のは貴様にも言っているのだぞ」
「へー。ふーん。……つーかさぁ、なんでそれを俺に言うわけ?本人に直接言えばいいじゃん」

俺がもっともなことを聞くと、ヅラは何言ってんだ当然だろみたいな顔で言った。

「あやつは俺の話は聞かんがお前の話は一応聞くからな。言うことは聞かなくとも何も言わないよりましだろう」
「………どんな理屈だよ」

あいつもこいつも、ばっかじゃねーの。








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