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ナルト再録文です

『君の為にあるから…』

by,石礫


静寂に包まれた森…その静寂を破る喧騒。
何かから逃げようとしたナルトが、何かにつんのめるように倒れた。
女がナルトが倒れる様に術をかけていた
「大人しく殺されなさい…この狐が」そして、印を組み始めた…普通の人間だと一たまりも無いような術の印を
術発動の一瞬前に、暗部が現れ。その術を解除しつつ、女の首筋に刀を付き付けた。
「何をしてる?」
刀を付きつけながら、暗部は横目でナルトの状態を見た…ナルトは気絶している。その遥か向こうに慰霊碑が見える

「暗部!?…ど、どうして止める!!」青年の面の奥に見える瞳はオッドアイ…左眼は赤い。
その瞳で女を睨み付けた「こっちが質問してるんだ、答えてくれる?」
「こ、こいつさえ殺せば…私達は平穏に暮らせるのよ」
「……誰を殺すって?」
「九尾のガキよ!!だから見逃して、わかるでしょ。見逃してくれたら、アンタと寝てあげてもイイわ」
「キモイ」
冷たい声で吐き捨てる様な言い方をされ女は暗部を睨み付けるが、彼はそんな視線など意に介さず。
「暗部の掟には『うずまきナルトの命に及ぶ危害を加えようとした者は、
 遠慮無く屠れ』とあるんで…死んどきます?」

刀は一閃し、その刹那、喧騒は止み、後は元の静寂な森となった


暗部の面を取りつつ。カカシは気絶しているナルトを優しく抱き上げると、慰霊碑の前に戻った。
「…オビトのお蔭で助かったな。」

気絶してる内に住まいに運ばなくてはいけないと思いつつ、腕の中の温もりを少しでも長く感じていたくて、
その場からカカシは動きたくなかった

三代目が水晶球でここを見てる可能性はわかっている。
しかし、偽る事は出来ぬのに抑え込まねばならぬ自分の想いは…

そう思うと、酷く切なくなり、自分の腕の中にいる最愛の存在から離れがたくて、ずっと抱き止めてしまいたかった
口布を下ろし、気絶しているナルトの唇に、ただ昔の様に口付けを落とそうと

自分の心の奥で『そして再び自分から離れ…またナルトを傷つけるのか?』と強い声が響く
「……く…っ」触れる事が出来なかった、どうしても、口付ける事が出来なかった



ナルトが気がつくと、自分の部屋で、ベットの上で、寝てるのだ…一人住まいのその部屋で
「オレ…いつの間にか帰ってたってばよ?」
優しいフリして近づいてくる人がいて…ナルトは…頭では信じちゃダメだと思うのに、
今度こそはと、信じたくなってしまう…でも、その期待はいつも裏切られた
ナルトには、この自分の感情が、辛いのか哀しいかもわからない…表情の無い頬を、涙が一筋、伝わった



「…また、泣いてるの?」
カカシは、外から、ちょうど、その部屋が見える位置に居た。ナルトの泣く姿を見つめていた

もし、許されるのなら、今すぐにだって、傍に行きたいんだ…そして、抱きしめたいよ。
全てが敵だって…オレだけは君の為にあるから…だから、里のヤツらのせーでなんか泣かないで…
大好きだよ。
誰よりも愛してるよ。
浅ましい想いも持ってるけど、オレは血に汚れてしまっているけど、君を好きなのは誰にも負けないから



ナルトは自分で自分を抱きしめ様に眠る。ふと、どこかで嗅いだ事のある懐かしい香りに包まれた気がした。
「…………か………し…………」と、無意識に呟きながら深い眠りに落ちていく…
朝になれば…体の傷が癒えるのと同じ様に、心の奥底に仕舞い込まれてしまう。


…その名と、愛おしい彼の人の記憶は…

FIN
後書き:昔書いた捏造過去話のボツにしたエピソード(笑)ほんの少しだけ修正



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