それは確かに恋だった。

幼くて、小さくて、でもしたたかな、

それは確かに恋だった。




* * *





殺生丸さま。
りんはまず謝らなければなりません。

こんなくだらないことをして、ごめんなさい。
それでも筆を取らずにはいられなかったのです。


これからのこと――つまりきっと殺生丸さまがこの文を見た後――のことは、大方邪見さまにお願いしてあります。
だから、これから記すことは殺生丸さまだけへのお願いです。



まず、ひとつ。
りんのお着物は、すべて土に返してください。
勿論、すべて殺生丸さまから頂いた大切なものです。

惜しければ――と思ったけど、やっぱり殺生丸さまが物を惜しむとは思えないので、お願いします。

すべて、ここには残さないでほしい。




ふたつめ。
結緋をふたりぶん愛してください。
勿論、りんと、殺生丸さまのふたりぶんです。

りんが母と過ごした時は余りに短かったけれど、満ち足りない愛に飢えたことはなかった。
これからりんには想像もつかない長さを生きるであろうあの子にも、そう思ってもらいたいのです。






最後です。
でもその前にひとつ、尋ねさせてください。



殺生丸さま、恋をしたことはありますか?

漠然とした恋という概念をりんが知ったのは、かごめさまに出会ってからです。


きらきら、ふわふわ、世界が輝くのよ―――


その頃のりんには、まだわかりませんでした。
ただ、恋という言葉を聞くたびにこそばゆくて笑い出してしまいそうな、そんな不思議なものでした。



恋というものがかごめさまの言うとおりだとしたら、りんが初めて恋をした――いいえ、恋に気付いたのは、殺生丸さまとの祝言の日。


世界が煌めいて柔らかく笑ったのです。









殺生丸さま。
恋をしてください。
殺生丸さまも、恋を感じてください。
そしてそれを殺生丸さまが殺生丸さまの言葉で、結緋に教えてあげてほしい。





これが最後のお願いです。



殺生丸さま。
りんに恋を、教えてくれてありがとう。







* * *


小さくて、あまりに小さくて、見えなかった。

拾いあげて近くでみたらとても大きくて、指の間から零れ墜ちた。


それは確かに恋だった。







現在御礼小説はふたつです。
ここまで読んでいただき、ありがとうございました!
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