新婚儀式・瞬編
〜VitaminX・瞬〜


ピンポーン。

玄関のチャイムが鳴り、あの人が帰って来たことを知る。

夕食の準備をしていた悠里は火を止めると慌てて玄関へ向かった。



「瞬くん、お帰りなさい」

「あぁ、ただいま」



柔らかく笑うようになった瞬が悠里の額にキスを落とす。

甘い雰囲気になったところで悠里は一度やってみたかったことを実行することにした。



「ねぇ、瞬くん。ご飯にな…」

「なさらない!それは選択肢に加えるな」



『ご飯』の単語だけで悠里が何を言うつもりなのか分かったらしい瞬は素早く悠里の言葉を遮った。

最後まで言わせてもらえなかった悠里はキョトンとし、そして我に還って怒り出す。



「もー、最後まで言わせてちょうだい!それに選択肢に加えるなって失礼でしょ!」

「失礼だと…?オレからすればあれを食べ物として食べるのはオレの胃に失礼だ!」

「そんなわけないでしょ!今日はホワイトシチューにしたのよ。ちょっと茶色っぽいけど絶対美味しいんだから!」

「ホワイトシチューが茶色っぽいだと!?悠里の言う茶色っぽいは普通の人間の焦げ茶から黒か…どんなホワイトシチューなんだ…既に白いシチューでなくなっている」



ぼそぼそと呟く瞬にむぅと頬を膨らませたままの悠里。

先に動いたのは――瞬。



「悠里、悪いが先に風呂に…」

「駄目です!遮った瞬くんが悪いんだから先にご飯!」

「なっ!それは横暴だ」

「遮った瞬くんのが横暴でしょ!その上、文句までつけて…絶対美味しいから食べてみて、それでも言えるもんなら文句を言いなさい」

「言える気力があるならな」



苦笑いを浮かべる瞬の腕を引き、悠里はキッチンへと向かう。

茶色っぽいホワイトシチューを瞬と食べる、その為に。



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