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お礼代わりの日本×座敷童子です。
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桜が舞い散る。
毎年の光景。もう何百年、何千年と見てきた光景だが。
「飽きる事ないですね」
縁側でお茶をすすり、傍らで眠るぽち君の頭を撫でる。
特段変わり映えのしない日常。
だが、それは非常に幸せな事なのだ。
温かな太陽の日差しに、日本は大きな欠伸を一つ。
うつらうつらと船をこぎはじめ、ぽち君が心配げに顔を上げた。
「ああ、すみません。大丈夫です。
……少しだけ眠くなったので、横にならせてもらいますね」
座布団を二つ折りにし、頭の下に敷くと、桜が見えるように横たわる。
静かに瞳を閉じ、何度か深い呼吸をし……
しばらくして、気持ちよさそうな寝息を立て、深い夢の中へと入っていった。
それを見届け、ぽち君も大きな欠伸をし……ぴくりと耳を立てた。
眠りについている日本の後ろをじーっと見入る。大きく尻尾を振りながら。
彼の後ろには着物姿の小さな女の子がたっていた。
満面の笑みを浮かべて。
『この時期になると、いっつもここでお昼寝しちゃうんだよね。日本ちゃんは』
彼の前に座り込み、彼と同じように桜を見上げた。
『桜綺麗だよね。太陽もぽかぽかで気持ちいいし』
やがて、やはり彼と同じように大きく欠伸をし、重くなった瞼を擦る。
『ダメだ。ボクも眠くなってきちゃったよ。一緒にお昼寝しよっと』
向かい合わせに横になり、そっと彼の手を握り締める。
瞳を閉じる前に、彼の寝顔をじっくりと見つめ。
『ん? なーにぽち君。一緒に寝たいの?』
合間に入り込んできたぽち君の頭を撫でてあげると、ぽち君は大きく尻尾を振ってから、首をかしげた。
『あ、もしかしてアメリカちゃんがお昼寝の邪魔しにこないかって心配なの?
大丈夫だよ。お守りを門に貼ってきたから』
悪戯っ子な笑みを浮かべ、門に先ほど貼ってきた紙を思い出した。
『今のアメリカちゃんならばあれで十分だよ。
最近、日本ちゃんちのホラーゲームにはまってるっていってたし、きっと見間違えて、入ってこないから』
大きくあくび。ほぼ同時にぽち君もあくびをすると、少女とぽち君は顔を見合わせた。
それから少女は楽しそうに微笑み、ぽち君を胸に抱く。
『それじゃ、ちょっとお昼寝しようね』
腕の中の温かさ。そして彼の手のぬくもりに、彼女は幸せそうな笑みを浮かべ、夢へと誘われたのだった。


――そして――
門に貼られた『祝いにつき入れません』という貼紙を前に、
アメリカは肩を大きく震わせ、『呪い? curse……そんな事までできるなんて聞いて無いぞ』などぶつぶつと呟き、
そそくさと去っていったのは些細な事だろう。




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