大蛇丸と斎
 
「うげー、粘膜系と同じ班かぁ」
 
 言っているないようにそぐわないほど満面の笑顔で、斎はそう言ってのけた。忘れもしない、大蛇丸と斎が初めて同じ班で任務をすることになった、ある日のことである。

「い、斎、ちょっと、言葉は気をつけようか。」

 後に4代目火影になる波風ミナトが困り顔で、斎を宥める。
 ミナトと斎は同じく自来也の弟子で、仲も良い。今回、大蛇丸とミナト、そして斎は同じ班で任務に出ることになったのだ。

「えーーーだってぇ、こいつ確か綱手様に殴られてた奴じゃん。なぁんでこいつの下なの?やだよー。」

 悪態をつく彼は酷く子供っぽい。といってもまだ8歳ほどだと聞いているので仕方ないだろう。
 ただ大蛇丸は子供の無体を許せるほどの精神は持ち合わせていなかった。かれこれ数十年、大蛇丸に対してそういう口をきいた人間は初めてで、挙げ句それは大蛇丸よりも遥かに年下の、まだころころしていると言ってもよい、少年だった。

「坊や、口の利き方を教えてあげましょうかぁ?」

 大蛇丸は少年の肩に手を置いて、べろりと長い舌を出す。
 脅す意味で凄んだわけ。彼は子供特有の大きな紺色の瞳を瞬いて、じっと大蛇丸を見つめていたが、一瞬目線を自分のポケットにずらし、ぱっとポケットの中からハンカチをとりだした。

「・・・なんなのよそれ、」

 大蛇丸が彼の行動の意味がわからず首を傾げていると、次の瞬間ぱっとハンカチを広げてそれで手を覆うと、思い切りその小さな手で大蛇丸の舌をひっつかみ、足を踏ん張って大きく振りかぶった。
 予想もしていない大蛇丸は、一瞬にして天井へと激突した。

「斎!!」

 ミナトが慌てて叫び、弟弟子の無体をとがめる。だが、けろっとした様子の斎は、呆然とする大蛇丸に無邪気な笑みを帰した。


「あれ、舌って存外丈夫なんだね。」



最悪の初対面





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