拍手お礼1
EHET
「もしも・・・。」
少年はそう言いかけて口を噤んだ。
眉間に皺を寄せて寝がえりを打ち、
何も言っていない、と背中で意思表示をする。
隣にいる男はその様子を横目で見てから、
ただふわりと口元に笑みを浮かべた。
「もしもの話は嫌いじゃないよ。」
少年はぴくりとも動かず、
何も言っていない、を続けている。
そんなことはいつものことで、
反応がない少年に話し続けるのもまた、いつものことだった。
「可能性を夢見ないと、創造性が失われるからね。」
天井を見上げているであろう男のその言葉に、
少年は不満げに呟いた。
「それは、未来の話だろ。」
言った後に少年は、まずい、と思った。
じゃあ、君の話をしてくれないか、
と頬笑みを浮かべてこっちを見ている男が背中に感じられた。
話したくないと言えば、聞いてくることもない。
ひたすら待つんだ、この男は。
だからこのまま寝てしまっても良かったのだけれど、
少年は不機嫌に寝がえりをうち、天井を見た。
白い天井に蝋燭の炎が揺れている。
「もしも母さんが生きていたら、って考えたんだよ。」
現在お礼は2枚です。
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