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EHET

















「もしも・・・。」





少年はそう言いかけて口を噤んだ。

眉間に皺を寄せて寝がえりを打ち、

何も言っていない、と背中で意思表示をする。

隣にいる男はその様子を横目で見てから、

ただふわりと口元に笑みを浮かべた。





「もしもの話は嫌いじゃないよ。」





少年はぴくりとも動かず、

何も言っていない、を続けている。

そんなことはいつものことで、

反応がない少年に話し続けるのもまた、いつものことだった。





「可能性を夢見ないと、創造性が失われるからね。」





天井を見上げているであろう男のその言葉に、

少年は不満げに呟いた。





「それは、未来の話だろ。」





言った後に少年は、まずい、と思った。



じゃあ、君の話をしてくれないか、



と頬笑みを浮かべてこっちを見ている男が背中に感じられた。





話したくないと言えば、聞いてくることもない。

ひたすら待つんだ、この男は。





だからこのまま寝てしまっても良かったのだけれど、

少年は不機嫌に寝がえりをうち、天井を見た。

白い天井に蝋燭の炎が揺れている。





「もしも母さんが生きていたら、って考えたんだよ。」






















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