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1セイフェイ(桃ピカ)
2アイメル(漬物)
3シィリス(その守護)



ちなみにランダムで出ます!






 







*2アイメル(漬物)

「レモンネイラの午後」






 平らな地面が彼の手、正確には彼が手に持ったチョークによって彩られていく。描かれた白い円は寸分の狂いもなく、直線は定規を使わずとも美しい。
 今まで、どれだけの数を描いてきたんだろうか。
 絵を描くことが好きだ、と彼は言った。全体像を把握するための練習用スケッチブックを見せてもらったことがあるが、それはとても上手だった。たぶん彼は、コンテストより絵を描くことのほうがずっと向いていると思う。そんなこと、言えるわけがないが。
 あのとき頼んで書いてもらったムゥの絵は、決して折らないように今でも大切にしている。
「こんなもんか」
 後方に下がって確認した後、アイクはチョークをケースに閉まった。
 コンテストのステージはまるで小さな世界のようだと、わたしは思う。
 その空間を描くための練習用に自分たちでつくるフィールドさえ、特別なものに思える。
「わたしこっちからだよね」
 左前方に立って、一度大きく深呼吸をする。湿度の高い、暑い夏の日。その暑さ、わたしは嫌いじゃなかった。
 モンスターボールを宙に投げるとユゥが姿を現した。
「“スピードスター”!」
「ぴちゅっ」
 ユゥの頬からたくさんの星が現れ、円の中心に向かって突き進んだ。
 瞬間アイクが高く腕を上げる。まるでオーケストラの指揮者みたいに指を振ると、ロロが“みずでっぽう”を放ち、星のいくつかを割った。
 それから間を置くことなく“れいとうビーム”、円から五センチもはみ出さず、星と星屑を呑み込んでその場所に大きな氷のオブジェが完成する。
「上出来」
 暑い日差しに熱せられて、中の星たちがキラキラと輝く。
 そうしている間に、段々周りにひとが集まってきた。わたしはそんな人々には殆ど目もくれず、ただ、オブジェの奥にあるその姿だけをなんとなく眺めていた。それに気づいた彼が、口パクだけでわたしに何か伝えようとする。言葉がなくとも意味は十分理解できた。
 ロロがもう一度“れいとうビーム”を放つ。次はユゥが“かみなり”で氷を割ってその破片を――。
 頭の中にたくさんの映像が流れ込んでくる。そのあまりの楽しさに、わたしはつい、頬をゆるめた。
 同じく、彼も少し嬉しそうに見えた。わたしのほうを見てにっと笑う。
 灰色の瞳が細められた刹那、それは空を同じ色に染まった。




 








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