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お礼駄文はRomanticシリーズ、Love Me Still直後のお話です。






FRESH CREAM MONSTER!!




 その光景に、クロトは盛大に眉根を寄せた。


 先程まで色鮮やかであったはずの様々な果物が、シューという静かな音と共に巨大な白に覆われていく光景に、息をも失った。
 縋るようにソファーでパソコンを弄る母親(戸籍上の性別は男性であるが)を見ても、彼はまるで何事も起きていないかのように規則正しい高速タイピングを続けるばかりで、クロトは呆然としたまま正面に視線を戻した。
 正面にはやはり、先ほどと変わらぬ光景――彼の父親(であるらしい)のクリフォードという男が、フルーツミックスの上にスプレー缶の生クリームをこれでもかというほど盛っている――があった。


 クロトはついに口をもへの字に曲げ、その小さな柔らかい手でベビーチェアのテーブルをバンッ、と叩き、「糞!なんて甘臭ぇモン食ってやがんだ!」と幼児特有の高い声で叫んだ。

 フルーツまでは分かる。フルーツまでは。
 クロトの味覚は母親のそれと同様甘いものを受け付けないものだが、果物は甘いながらも酸味が含まれていたり、歯ごたえが良く水気もたっぷり含まれていて、口の中でそれが広がる感り喉を潤していく感覚もとても好きだった。


 だが、クロトには分からない。
 見ているだけで胸焼けがしそうなほどの大量な生クリームを勢いよく頬張るその舌が理解できない。全く。
だいたい、そんなものいつどこで買ってきたというのだ。キッチンの棚の奥から取り出して来たりして。住人のクロトでさえ、そこの場所にそんなものが置いてあるだなんて知らなかった。しかも、一度に複数本取り出していた。もしかしたら以前来た時に買い置きしていたのだろうか。だいたいいくら蛭魔の将来の夫でクロトの父親だからといって、我が物顔でクロトの家を闊歩すること自体気に食わないのだ。


 クロトは、ぷりぷりと怒りつつ、けれどしっかりと自身のフルーツミックスを味わうと、早口で「ごちそうさま」と言って椅子を降りた。そしてソファに直行し、母親の胸とラップトップの間にぐりぐりと潜り込んだ。
 蛭魔も、ちょうど作業が一段落したのか、ラップトップを畳み、「ケケケ、糞クリームにやられたか?」と笑いながらクロトの背に手を回した。


 そんな一連の反応もどこ吹く風で、クリフォードは無表情のままペロリとデザート(ほぼ生クリーム)を平らげると、鷹揚にクロト達に近づき、ボスン、とソファに深く腰を下ろした。


「んだよ、アッチ行け糞鼻!」
「ケケケケ、嫌われてんぞ、『お父さん』?」

 蛭魔の揶揄にも、クリフォードはピクリとも表情を変えず、代わりに二人をじっ、と見つめると、徐ろに二人を――クロトを抱えた蛭魔を、クロトごと――ギュッと音がしそうなほど強く抱きしめた。


「痛ぇ!この糞鼻野郎!急に何すん…」
「これが『幸せ』ってやつか、と思っただけだ。」










2012年冬コミで出した無配ペーパー。
ようやく書けたよ先生のスプレー缶生クリームネタ。(笑)
実際のペーパーには要らないらんたコメント付き。
会場にお越しくださった方には一足先に、来られなかった方にはお年賀に、ということで!
今年もよろしくお願いします!




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