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【PKMN LZAジプカラ】
あぎゃ、と言うリビングに響いた声が普段よりも幾分高かった。リビングで大きく羽を広げて歩き回るエアームドの姿に、ジプソの手持ちたちは慣れた様子で気にも留めていなかったが、それを目にするのが初めてなペンドラーたちはそうではなかった。 どうしたの、と言うようにエアームドの傍に寄るペンドラーに、なおも機嫌の良さそうなエアームドの声が掛かる。あぎゃ、あぎゃ、と鳴き声が上がる度に、フローリングに鋭い爪が擦れて、かさかさと小さな音を立てていた。 尤も、歩き回る、と言うよりは踊っているようにも見える姿は、流石にオドリドリほどではないとは言え、揺れては羽を広げ、そして機嫌が良さそうにひと鳴きする姿に、珍しくペンドラーが目を丸くしていた。 ジプソのエアームドは普段は大人しいが、時折こうして陽気になる。ジプソも初めて目にした時には随分と驚いたが、単に機嫌が良いだけ、とも知れば気が済むまで付き合っていた。 無論、付き合うと言っても、ジプソの周りを楽しそうにぐるぐると回る姿に、時折声を掛けるぐらいだった。ジプソが料理をしていても気にせずそうやって遊んでいることもあって、そんな時はその様子を横目に料理をしていた。 ぎゅう、と困ったような声を上げるペンドラーたちを撫でながら、カラスバがその様子を眺めて笑っていた。丁度ソファーに座るカラスバの周りを歩き回る様子に、小さな笑い声は止むことがない。 「どないしたん、えらいご機嫌やん」 歌でも歌うようにあぎゃ、と声を上げながら、羽を広げてその赤い色を乱舞させる。普段の大人しい様子からすれば想像もつかないだろう姿をカラスバに見せるのは、そう言えば初めてのことだった。 これまでも、ジプソの家にカラスバが泊りに来ることも当然あったが、その時は大人しくしていることばかりだった。カラスバがいる間は常にも増して大人しく、そう言った振る舞いはジプソを真似てのものだったのだろう。決して粗相はないように、と手持ちの中で誰よりもそうやって努めているような嫌いさえあった。 ただ、カラスバが泊りに来れば、分かりやすく甘やかされる上に、ペンドラーたちとも遊ぶことが出来る。それが嬉しいのか、カラスバが帰った後はこうして機嫌よく歩き回っていることが多かった。 カラスバと共に暮らすようになって、新しい家にも漸く慣れた頃ともなれば、それが表出するのは当然のことなのだろう。初めて目にするエアームドの様子に、最初こそ驚いていたカラスバも、今では笑みを浮かべるばかりである。 思えば、先日身体を仰向けにして寝ているエアームドを見てカラスバがぎょっとしていたが——ジプソも初めてそれを目にした時には、心臓が止まる思いをした——それだけこの環境に慣れてきた、と言うことなのだろう。もとはと言えば非常に警戒心が強いことは知っていたため、それだけリラックス出来るようになった、と知れば嬉しい以外の言葉がない。 エアームドと一緒にいたペンドラーもその陽気に乗せられたのか、一緒に鳴き声を上げながらソファーの周りを歩き回っていた。カラスバは、と言えば、膝の上で甘えきっているロズレイドを抱き締めながら、その様子をスマホロトムで撮影している。 休日の昼下がりのリビングの光景としては、確実に満点が貰えそうなほどに平和な光景だった。 彼らが悠々と遊べるだけの広さを確保したかったため、リビングと彼らの部屋の広さには非常に拘ったが、エアームドの様子につられて楽しそうにソファーに集まる姿を横目に、キッチンで三時のおやつの用意をする。それがなんと幸福なことだろう、とそんなことを思っていれば、気付くと後ろに立っていたガメノデスに手を引っ張られていた。 オーブンに入れたアップルパイは焼けるのを待つだけ、ともなれば、片付けが残っているだけとは言え、急なことに驚いていればソファーにいたはずのカラスバが、エアームドに服の裾を引っ張られていた。一緒に遊ぼ、とでも言わんばかりの行動に笑うばかりのカラスバが立ち上がり、その傍ではロズレイドとクレッフィがくるくると回っている。 「みんなして、どないしたん」 ご機嫌さんがいっぱいやんか、そんな声にガメノデスが混ざる。一緒にいたジプソの姿に一瞬呆気に取られていたカラスバが、くたり、と眦を下げた。 ここにもご機嫌さんがおるなあ、と伸ばされた手がジプソの頬に触れる。知らぬ間に緩みきっていたらしいことを知って、小さく息を吐きながら今度はジプソからも手を伸ばした。 |
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