繋がれた手(メロ)





わたしから見たら、メロは眩しすぎるくらいの存在だった。彼の周りにはいつも沢山の人が居て、凄く楽しそうで、わたしはそんな彼を見ているだけで幸せになれた。初めは憧れだったんだと思う。真っ直ぐで、純粋で、明るい人柄は、自分には持ち合わせていないものばかりで、わたしよりずっとずっと遠いところに居るような気がしてならなかった。


「お前また閉じこもって本読んでるのか?」

図書室で熱中して本を読んでいたら、後ろで声がしたのでびっくりした。しかもそれがメロだったから、意識した途端顔が一気に熱くなった。緊張して後ろを振り向くことが出来なくて(きっと顔が真っ赤に違いない)、仕方なくわたしは本を読み続けるフリをした。

「そんなにおもしろいのか、これ」諦めて部屋を出て行ってくれればいいのに、どうやらわたしの読んでる本に興味を示したらしいメロは、後ろから覗き込むようにして顔を近づけてきた。彼の髪が軽く頬へ触れるほど近い距離。メロが傍に居るせいで、心臓はバクバク騒々しい上に、身体はくっついていないけど背中が妙に熱かった。普段こんなに近くで喋った事も無いため、どうしたらいいのかわからずわたしはまるで石化してしまったみたいに動けなかった。

「…メ、メロ」
「なんだ?」
「きょ、今日は、外で遊ばないの?」
「なんだよ、僕が本読んだらいけないのか?」
「う、ううん!い、いいと思うよ」

耳元で声がするのと、彼と話していることが信じられなくて、頭が沸騰したみたいに熱かった。自分でも何喋ってるのかわからない。ちゃ、ちゃんとしゃべれてるかな…?
会話が途切れたと思ったらいきなり後ろから手が伸びてきて、言葉を上げる暇もなく一瞬で読んでいた本を取り上げられた。

「な、何す…」
「なーんて本当は誘いに来たんだ」
「え?」
「みんな待ってる。お前も一緒に遊ばないか?」

そう言って二コッと笑ったメロがあまりにも綺麗で、ついつい見惚れてしまった。それは本当に自然で、差し出された手に触れたらそのまま腕を引っ張られ、気づいたら二人で走り出していた。繋がれた手が温かくて、心地よくて、今までずっと閉ざしていた心が漸く開きかけたような、そんな気がした。


「あ、ありがとう!メロ!」


返答はなくて聞こえてるのか聞こえてないのかわからなかったけど、メロの後姿を見ているとやっと追いつくことが出来たようで、なんだかとても嬉しく思えた。






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