職場に顔出すなって言っただろ?
「ウッチー」
やっと下準備が終わった昼休み、明るく元気な声が職場に響いた。 下準備がかなり疲れて、昼飯どころじゃなくて、ぐてーっと倒れてたから、最初、自分が呼ばれた なんて気が付かなくて、あー、先輩の彼女でも来たのかな、なんて思ってた。 先輩にお前の彼女じゃねえの?って言われるまで気が付かなかった。 職場の入り口で、彼女が手振って立ってるもんだから、俺も本当に驚いた。
「おい、何してんだよ!」
先輩達や棟梁の好奇の目に晒されるのが恥ずかしかったから、彼女を物陰に引っ張っていってから、 そう尋ねた。 すると、彼女は暢気に笑って青いバンダナに包まれた何かを差し出した。
「何?」
「お弁当。隠し味は愛だったりして」
予想外の差し入れにめちゃくちゃ嬉しくて、すぐさま彼女を抱き締めた。 先輩達に見せるのも勿体無いから、今此処で彼女と2人で食べてしまおうか。 昼休みはまだ始まったばかりだ。
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