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跡日


 Title
『 ~ Diary~ 』





スケジュール帳をぺらぺらとめくる。
普段、学校や部活などの公のスケジュール管理は、
自分付きの執事に全て任せているが、
プライベートの管理は、自分で行うようしている。
執事からもらったスケジュール表と見比べながら、次の予定を立てる。
デジタルツールでの管理も便利だが、書いて管理するのも案外悪くない。
手先を動かして文字を綴るのも、嫌いではなかった。

ここ最近の予定は、全て同じ人物との約束で埋め尽くされている。
学業、スポーツ、その他にも対外的なイベントでスケジュールが埋まる中、
わずかにできた空白の時間を、その人物と過ごす時間に充てていた。


二人で過ごす時間のほとんどを自宅で過ごしているが、
自宅と言っても広い敷地の中にあるので、
敷地内を散策するだけでも、結構な時間がかかる。
それに、備え付けられているテニスコートで汗を掻けば、
時間はあっという間だった。


今日は、どうしようか。



もう一度、手帳をめくる。


確か先週は、ミニシアターでミステリーサスペンス物の映画を鑑賞した。
気に入っていたようだから、その続編を観るものいいかもしれない。
いや、お互い読みかけの本をじっくり読むのもいい。
夕飯は、あいつ好みの和食をシェフにリクエストしてある。
食後は、ピアノを弾いてやろう。
どうしてか、ときどき聞きたがる。

これからの予定に思いを巡らせていたとき、
ふと、友人に言われた一言を思い出した。


『恋は人を変えるっっちゅー話はホントやな』


あのときは聞き流したが、否定はできなかった。

今まで傍に寄ってくる人間は、己の好みを出さなかった。
特に、それなりの地位…恋人というポジションを欲しがるやつは、
頼まなくても俺の好みを調べ、勝手にそれに合わせて満足していた。
だから、相手の好みなんて考えたこともなかった。
考えることを必要とされていなかった。

けど、今は違う。

あいつは、俺が「白」といっても「黒」と正反対のことを言って返すようなやつだ。
ゆるぎない、自分の意志を持っている。
頑固で気が強いところも、俺を楽しませてくれる。


知りたい。

もっと、知りたい。


一つ知れば、もうひとつ、そしてその先も知りたくなる。







跡部はゆっくり手帳を閉じると、時計に目をやる。
まだ、約束の時間まで少しある。
迎えに行こうかと思ったが、以前、高級リムジンでの迎えは目立つから
やめてほしいと本気で断られたことがあったのを思い出す。

会ってしまえば時間はあっという間なのに、
待つ時間のなんと長いことだろう…。



携帯電話を手に取ると、アドレス帳からすぐに目的の宛名を見つける。


「待ちくたびれた。早く来い」


  To 日吉 若
From 跡部 景吾


メールの返信があったのは、それからすぐのこと。





『移動中。もうすぐ着きます』








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跡部の語りでした。
日吉が出てきていなくても、これは跡日なのだと言い切る!(爆)
時代の最先端をいく跡部家御曹司がアナログな手帳を
愛用しててもいいんじゃないかな~と思うんですが、
いかかでしょうか。





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