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【ランダム拍手用連載小話:計4話】
・夏休みの会話 ver.おお振り:泉孝介
・夏休みの会話 ver.庭球:越前リョーマ
・夏休みの会話 ver.笛!:椎名翼
・夏休みの会話 ver.復活:雲雀恭弥
(※全てネームレスです)

夏休みの会話 ver.おお振り:泉孝介

「暑いー…」
「夏だからな」
「んー、孝ちゃん。やっぱり図書館行こうよ」
「そうだな…」

たまの部活休みに泉の部屋で、二人で夏休みの宿題をしていたが流石に暑い。 窓は全開でも風がない上に、外からは蝉の声ばかりが聞こえてくる。

「ちょっと遠いから、行くの面倒臭いんだよなぁ」
「だねー。でも私は、孝ちゃんとデートだと思えば楽しいよ」
「またお前は頭痛くなるようなこと言うなよ」

照れたような表情をしながらそういう彼女だが、相変わらず本気かどうか分かったもんじゃないと泉は思う。

「…まぁ、お前相手にデートなら、こっちだろうな」
「"こっち"?」

泉が一枚の紙を机の上に差し出すと、彼女は不思議そうに首を傾げつつ差し出された紙を手に取ってみる。

「あ。これ、駅前の喫茶店だよね。えーっと…"新作チョコレートケーキ発売日"…発売日?…え。今日?!」

一気に目を輝かせた彼女の反応に泉は、やっぱりと言わんばかりに得意げに口角を釣り上げる。

「孝ちゃん!これ!」
「ほらな。行きたいんだろ」
「行きたい!すっごく!」
「連れてってやるよ」
「本当?!嬉しいー!」

彼女の頭の中が、完全に新作チョコレートケーキへと変わってしまっていた。 本来の目的は図書館に宿題をしに行くということだったということは完全に忘れ去られているに違いない。

「(帰ってきてやればいいか…。だってこれ…)」
「孝ちゃん!早くいこう!」

泉の手を引いて急かす彼女に対して、泉はドクンと心臓が高鳴る。
いつもと変わらない幼馴染みとしての行動なのに意識してしまう。家で宿題したり、寄り道したりとは訳が違う。 頭の中がチョコレートケーキの事でいっぱいの彼女がどこまで意識してるかは分からない。 だけどこれは紛れもなく自分から彼女に仕掛けたデートの誘いだった。 そしてそれを彼女は承諾した。こんな好機、逃したくない。

「孝ちゃん?」
「あ。いや…んー。じゃあ、今から行くか?」
「うん!そうだ。せっかくだから私、着替えてこようっと」
「え?なんで」
「だって、孝ちゃんとデートだもん!」
「っ!」

笑顔でそう言って泉から手を離して立ち上がると、 「すぐ用意してくる!」と言い、持ってきていた宿題も置いたままで泉の部屋を出て行く。

「あいつ、まじでどこまで本気か分かんねぇ…」

体に集まる熱で一気に体温が上昇してくる。

「くっそ…あちぃ…」

部屋に響く蝉の声だけが泉の部屋に響いていた。

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