拍手御礼 ~ フレユリ 8-4 ~


※ ♀ユリです。苦手な方はもう一度拍手ボタンを押して頂くか、引き返して頂きますようお願い申し上げます(>_<)



◆ ひだまりの下で…。 番外編 ◆



フレンと暮らし始めて、もう二年が経つ。
オレは今市民街にある一軒家に住んでいた。
本当は下町でも良かったんだが、フレンの『それだと僕が色々心配で仕事に集中できないから』の一言により市民街に暮らす事になった。
ヨーデルやエステリーゼは城かもしくは貴族街と言っていたが、それは断固として拒否した。
オレが貴族嫌いって事も勿論あるが。

「ユーリお姉ちゃんっ!!苺取りに行こうよっ!!」
「そうだよっ!!約束だろっ!!」
「もう、マリアの準備も出来てるぞーっ!!」

家族を失ったこいつ等、ソラにビートにライ、そしてマリアの四人が貴族に恐怖を覚えているからである。
でも市民街に家を持ったのは良かった。
おかげでこいつ等に笑顔が戻ったから…。
オレの周りで笑いながら手を引く、そいつらの頭を撫でてオレは頷いた。

「へいへい。さ、行こうぜ。籠持ったか?」
「あったりまえじゃんっ!!」

仲良く家を出て、鍵を閉める。
そしてマリアを抱き上げて、オレ達は近くののイチゴを摘みに出かけた。
そこは下町の近くにあるから、下町を通って行くと、皆が声をかけてくれる。
すっかり街の人気者だ。
気付けば下町の子供達まで一緒になって苺を取りに向かっていた。
ウチの子だけで、マリア入れて4人。んで下町からついて来た奴らがテッドを入れて、ひー、ふー、みー…5人か。
大分減ったとはいえ、街の外に出れば魔物がいる。
何かあればオレ一人でこの人数守りきる事は不可能だな。
そう判断すると、最初に行こうと思っていたちょっと遠く目の場所をやめ、もう少し近場へと目的地を変えた。
街から出て数分も経たない内に目的地に着く。
今年は豊作で、苺が沢山実っている。

「ユーリお姉ちゃん、これとってもいいのーっ!?」
「あぁ。いいぞー。ただし、籠に満杯なったらそれ以上とるなよ?ここは皆のモノだからな」

オレが言うと、皆おっきな声で頷き、わっと苺をとりにかかった。
全員がいるのを確認しつつ、オレも苺の生えている所に近寄り一つとると口に放り込む。
お、甘い…。
これならマリアが食べても大丈夫だろう。
小さく熟れた実をマリアの口元に持って行くと喜んで受け取る。
…そう言えば、マリアももう少しで三歳か…。その割にしゃべらないよな?
渡した苺を嬉しそうに頬張るマリアをじっと見る。
普通これ位の年齢になったら「あー」だの「うー」だの言って良い筈なのに。
頭の中に疑問符ばかりが浮かぶ。
そもそも、こいつどっか障害でもあるのか?
…いやいや、ないない。それだったらもっと早くに気付くはずだ。
となると他の理由としては、逆に賢いから?とか?
まっさかーと笑いが浮かぶ。一体誰に突っ込みをいれてるのか分からない手まで空を切っている。

「あーっ!!マリアのお口の周り、べたべたーっ!!」

ソラがオレの方を指さして言う。
お口がべたべた…?
一瞬何を言われたのか理解出来なかった。…が、直ぐにはっとして手の中にいるマリアの口元を見ると苺の果汁で口の周りも手もべっとりと赤く染まっていた。

「ちょっと油断した隙にこれかよ…。っとに仕方ねぇな」

オレはマリアを地面に降ろし、その横に座ると籠の中から、濡れた布巾を取り出すとマリアの汚れた口と手を拭いて行く。
それが楽しいのか、嬉しいのか分からないけれど、マリアはきゃっきゃと笑った。
…笑いはするんだよな。…なら、いっか。

「う、うわあっ!?」

ほんわかした空気は突然討ち破られた。
この声は、ビートかっ!?
直ぐに声がした方へ視線を向けると、そこには…。

「んなっ!?キラービーかっ!?しかもこんな大群っ!?」

一体ならそんな苦労する魔物じゃない。ただ、この量。どうやらビートが巣を突いてしまったようだ。
結局キラービーは蜂と習性が似ている。
だから攻撃も群れてやってくるのだ。

「皆っ、こっちに来いっ!!」

オレの声に反応した子達は一斉にオレの周りに集まる。無意識的にだろうが男が女を守る様に円になっていた。
流石だ。これならとオレは懐から短剣を取り出し地面に突き刺し、昔魔導器を使っていた時程の威力は無い物の、術を発動させる。

「守護方陣っ!」

術は上手い事、子供達を守りキラービーの群れに攻撃を与えて行く。
しかし、まだまだ巣からキラービーは現れ続ける。どうする…?このままじゃ…。
そう思ったその時。

「ユーリっ!!僕、フレン呼んでくるっ!!」
「テッドっ?」
「待っててっ!!直ぐ行ってくるからっ!!」

円陣から飛び出し、テッドは全速力で走っていく。
追い掛けたくてもこの状況じゃ、無理だった。この人数の子を守るにはオレ一人じゃ荷が重過ぎる。
…念の為に、持って来て置いて良かった。
オレは懐から二つの瓶を取り出す。一つは黒く、一つは白い。そう。ダークボトルとホーリィボトルだ。

「ライ、ビートっ!!これ持って街まで逃げろっ。あと」

そう言って下町からついて来た男子を見る。

「マリアを頼む」

そっとマリアを渡す。男の子は力強く頷いた。
するとライとビートがホーリィボトルの蓋をあけ走り出す。それを確認しつつ、オレは逆に走りながらダークボトルを使った。
キラービーの大群がオレに向かってくる。
ここまで来たら遠慮も何もいらない。守るモノはオレの身一つ。
こっそりと隠していた剣を背中から抜き出す。…ここに隠すと実は屈み辛かったりするが、そこはそれ理由がある。
子供に剣を見せられない?いやいや、そうじゃない。剣を持ち歩きながら子供の世話はし辛い。抱っこ出来ねぇし、手繋げねぇし、…すっかり主婦思考の自分に笑ってしまう。
鞘を吹き飛ばし剣を握りビーを次から次へと薙ぎ払って行く。
最近子育てばっかりだったから、体が鈍って仕方なかったが、…正直楽しい。
次から次へと沸いて出て、しんどいと言えばしんどいがそれより最高のストレス発散だ。
…いっそ、巣ごと退治してくれようか。
苺の木を乗り越えて…って言うか苺って刺あるんだっけ?プスプス刺さって地味に痛ぇ。
キラービーが現れる方へと突き進んで行く。
どうにか巣まで辿り着き、ビーの攻撃を受けることなく、女王キラービーを倒した。

「うあーっ!!すっきりしたーっ!!」

さっさと帰ろう。アイツ等無事に逃げたかな?
……テッドはフレンを呼びに行ったんだし、大丈夫か。
それじゃあ…。オレは巣の傍を離れ苺の群生の場所へと戻るとその側に大の時になって横になる。
…そう言えば、このままダークボトル使ってるとヤバいか。
持っていたホーリィボトルを使う。するとダークボトルの効果が打ち消された。
木の間から溢れる木漏れ日が暖かい。少し休もうと目を閉じる。

「……か…さ…。…さんっ…。ユーリお母さんっ!!」
「ママ、ママぁっ!!」
「ユーリっ!!」

…?
何だ、この必死そうな声は…。って言うか、今の声っ!?
慌てて目を開くと、眼前に突然現れたのは双碧の瞳だった。

「フレン?」
「…フレン?、じゃないよっ!!無事なのかっ!?怪我はっ!?」
「へ?何言って…あ、あぁ。そうか。ねぇよ。全く持って全然かすり傷一つねぇ。しいて言うなら苺に刺された足がチクチクする位か」
「…良かった…。ホント心配したよ。テッドが城に飛び込んで来た時にはどうしようかと…」

むくりと起き上がり周りをみると涙を流しながらオレを見る子供等の姿があった。

「ママ、ママ…」
「ユーリ母さん…」
「ふぇ…」

ぎゅっと抱きつかれる。何が何だか良く…?
視線だけでそれを問うと、フレンは苦笑いしながらオレを見た。

「…君が血だらけで倒れていたから、多分…」
「血だらけ?」

何を言っているんだ?こいつ。ふとフレンの視線がオレの胸に移動した。
何を見てるんだ、こんな時にと思わないでもなかったがフレンの視線に従い自分もソコへと視線を向けると確かにそこの部分だけ服が赤く染まっていた。

「……あぁ、これ、苺の果汁か」
「みたいだね。君が怪我がないって言ったから僕も直ぐに気付いたけど」

これが、血に見えて、過去のトラウマを呼び戻させてしまったのか。

「…悪かったな。皆」
「…でも、今日の事件のお陰で、一つ良い事があったよ」
「へ?」

また何を言い出すのか。フレンが泣きながら抱きつく子らの頭をゆっくり撫で、そして微笑んだ。

「僕達を両親と認めてくれたよ」
「…そう言えば…」

オレの事をママと母さんと呼んでいた。
こいつ等の母親は別にいる。だが、それでも…。オレ達を親の一人として認めてくれた。
その事が堪らなく嬉しくて、オレは可愛い子供達をきつく抱きしめた。
それを微笑ましげに見ていたフレンがそっとオレの耳元に唇を寄せてきた。

「…ねぇ、ユーリ」
「ん?」
「…この子達に兄妹作りたくない?」

とんでもないセリフだ。こういう場面で言うセリフじゃない。けど…嬉しかったから。

「お前の立場がちゃんと安定したら考えてやるよ」

そう言って肯定の意味を込めてオレはフレンの唇に噛みつくようにキスをした。



※ 拍手有難う御座いました~(>_<)
今回はリクエストで書いた話の番外編を中心とした拍手のお返事ですが。
これは多分ホムペには載らないレアものですwwwww
…とか言ってもう一度読みたい言われたら載せるかもですがwww
宜しければこんなアホにコメントも頂けると飛び跳ねますwwww
下にある一言をぽちっとして頂けても嬉しいですっ!!(^◇^)
この度は拍手有難う御座いましたっ!!



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